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道明寺が刺された・・・




長時間に及ぶ手術に耐え、私の元へと帰ってきたはずだったのに・・



目を覚ました彼は私の事だけ忘れていた。



最初は信じられなかった




でもこれが現実で・・



今は私の代わりに別の女性が彼の横に立っている。






いろいろ考えた、どうしてだろうと・・・




でも、彼でさえ分からない事なのに私に分かるはずがない



頭と心はぐちゃぐちゃのまま



魔女に許されていた一年間もあっという間に過ぎてしまった







今日、道明寺はNYへと旅立つ






私の代わりに隣に立つ







【中島 海】






という女性に4年後の約束をして・・




私は・・



この気持ちを諦めたわけじゃない・・・




彼の事、忘れてしまえるほど軽い想いじゃないけど・・



すぐに笑えるほど強くもない・・・・




結局、私は家庭の経済的な事情から英徳を辞め





優紀が通う都立の高校へと三年生から編入した



非常階段で花沢類に転校する事を告げた時



彼は私が決めた事だから応援すると言ってくれた



転校する事をみんなに告げると心配してくれけど



私は私らしく生きていきたかった



今の私は全然私らしくない・・・




それにここには道明寺がいる



いくら大学部と高等部の違いがあると言っても




まったく顔を合わせないわけじゃなかったし、




ふいに彼に会いたくなかった



彼が私の事を忘れたからじゃない・・・



私に浴びせられる言葉が冷たいからじゃない・・・



今の私は私らしくないから・・・



こんな私を彼に見られたくないから




そしてもう一つ、英徳に通って彼らと知り合った事で知った広い世界



まだまだ私の知らない世界が沢山ある



だからもっと広い世界へ飛び出してみようと思った



どこまで行けるかは分からないけど


行ける所まで言ってみようと思う



逃げるんじゃナイ!



私は私の為に・・・・






≪雑草つくし≫






で生きていこう






大丈夫!なんとかなる





都立の高校へ編入して半年後、




交換留学生としてロンドンの高校へ留学するチャンスを得た






道明寺がNYへ行く、同じ日に偶然だけど






私はロンドンへと旅立つ・・・





花沢類たちには何も伝えていない・・






見送りに行くと言った優紀にも





”泣いちゃいそうだから”と見送りを断り






一人で空港へと向う











道明寺邸





司の見送りのためにみんな集まって来ていた







「あ〜あ〜司、とうとう行っちゃったね。」






「ああ、これで俺達は当分の間は平和だな。」





「ねぇ、つくしはやっぱり来なかったね。」






「そうですね。先輩大丈夫ですかね?」






「う〜ん、明日にでも会いに行ってみようよ!」







「そうですね!いきなり押しかけて驚かせてちゃいましょう!」






「牧野なら大丈夫だって!
 なんてったってあいつは雑草だからな!」






「そうだね。私達なんかより全然強いし。」






そんな会話を交わしている間、総二郎だけがずっと時計を気にしている






「どうしたの、総二郎?さっきから時間ばっかり気にしてるけど。」





「なんだよ。デートの約束でもあんのかよ!」






「えっ・・・ああ、そんなところだ。
 俺、そろそろ行くわ!」






「え〜ニッシー帰っちゃうの?」






「ああ、悪いな。じゃぁまたな!」








そう言い残すと総二郎は早足で部屋から出て行った







「あ〜あ、つまんない!ねぇ、アッキ〜これから飲みに行かない?」








「飲みにって、まだ昼間だぞ!?」







「いいじゃん、そんなの別に!
 ねぇ行こうよ!」









「ああ、分かったよ!類、お前も行くだろ?」






「いいよ。」







「お〜し、じゃあ〜行くか!」






俺達の会話を聞いていた海がいつもの甘い声で







「ねぇ〜 海も行きた〜い!海も連れてって〜!」








"ハァ〜うぜぇ女!
 司が居たからこの女とも一緒にいただけで
 司がNYに行ってしまった今、この女の相手をするつもりは俺達にはない。"






海のその一言でその場の雰囲気が一気にしらけてしまい





類なんて表情を変えずに






「あの子が行くんなら僕は帰るよ。じゃぁね。」






そう言うと後ろ手にヒラヒラとさせながらさっさと帰ってしまった





桜子と滋も無言で帰って行った






サイアクじゃねぇーか!






一人残されてしまった






けどこの女と二人でなんて・・・俺も帰ろ






「じゃあな!」









そう一言だけ残すとあきらも道明寺邸を後にした














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