ムカつく!






俺がNYに行ってからはほとんど日本に居るメンバーとの接点は無かった




電話で話す事も無く





大学を卒業してからは時たま仕事でNYに立ち寄った奴が俺のオフィスへと






訪ねてくる事はあったけどゆっくりと酒を酌み交わす事もしてこなかったのに・・








「な〜んかお前らだけ楽しそうじゃねぇ〜かよ?!」






「今度は拗ねてんの?」








「うるせぇーよ!おめぇーらだけ楽しみやがって!
 ムカつくんだよ!」






「ムカつくって・・司はNYだったじゃん!?」






「NYだからって声ぐらい掛けれんだろ?!」






「声掛けても来ないじゃん!」





「来るかどうかは別としてダチなんだから誘うだろうーが!?」






「プッ!」






なんか自分でも格好わりぃ〜とは思うけどよ・・





噴出す事ねぇーだろ?






「笑うな!」






「だって・・司の言ってる事って滅茶苦茶なんだもん!ハハハ」






笑い続けている妻を睨みつけてるけど全く応えていない・・







「ねぇ?司?」





「んだよ!?」





「まさかこの10年間で自分がしてきた事を忘れたわけじゃないわよね?」






「忘れてねぇーよ!」






忘れてねぇーけど・・





そ〜んなジト〜ッとした瞳で睨まれる程の悪行はしてねぇ・・




つもりだ・・・







「じゃあどうしてみんなが司を誘わなかったか分かるでしょ?」






分かるけど・・






「分かんねぇーよ!」






確かに記憶の無かった俺の妻に対する態度は





お世辞にも友好的だったとは言えねぇーけど






「嘘つき!それにね美作さんが言ってたよ!
 司はNYで発情期だから忙しいって!」








あきら!ぶっ殺す!!







「発情なんてしてねぇーよ!」








「してたじゃん!毎週違う女の人と週刊誌に写真載ってたくせに!」








「なっ!・・の、載ってたか・・?」







「載ってた!載ってた!」







嬉しそうに言ってんじゃねぇーよ!







「高等部の頃は人としてサイアクだったけど、
 あの頃は男としてサイアクだったよね」







どっちにしろサイアクだったんじゃねぇーかよ!?









「お前はなんとも思わなかったのかよ?」









「なにが?」






「あいつらから色々聞いてたんだろ?!」






「聞いてたけど・・別に・・ねぇ・・?」







ねぇ・・って俺に聞くなよ!






「別にってどういう事だよ?
 お前っ!俺様の事もうどうでもよかったのよかよ?!」






「めんどくせぇ〜」





「めんどうくせぇとか言うな!
 どうだったんだよ?!」







昔の事をチマチマと気にしすぎだって思うかもしんねぇーけど



やっぱ離れてた10年の間、妻が俺の事をどう感じていたのか知りたかった







「う〜ん・・どうって言われても・・噂になる人が毎週違ってたから
 特定の恋人はいないんだろうなぁって思ってたけどね・・」







「けど?」







「けど・・そんな事より・・私、本当はね毎年、
 滋さんちの別荘に行くの嫌だったの・・」







嫌だったのと言った妻の横顔が寂しそうだった・・





あ〜あ〜・・




俺・・こいつにこんな顔させるほどに





寂しい思いさせてたんだなぁ・・





俺様も再認識しちまったじゃねぇーかよ!








「ごめんな・・俺、お前に本当に寂しい思いさせてたんだな・・」






「大丈夫!司がいないのは寂しかったけど花沢類が癒してくれてたから!」





類もぶっ殺す!!







「私ね毎年、滋さんちの別荘に行った時に今、
 此処で遭難しても司は助けに来てくれないんだなぁ〜って
 思い出して寂しかったんだよ・・」








「ごめんな・・」






「うん・・でも、もういいの!昨日、司が来てくれたから」







そう言って笑った妻がフワリと小さな風を起こして俺の首に腕を回し



そのまま身体を預けてきた






「なぁ?一緒に風呂入ろうぜ!」





「いいけど・・何もしない?」





俺様を一体なんだって思ってんだよ!




そんなに見境なく盛ってねぇーよ!






「しねぇーよ!」






「じゃあ、入る。でも疲れて歩けないから連れてって!」






「了解!」















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