ハァ〜・・やっと帰りついたぞ!





クソー!





気持ち良さそうに寝やがって!





お前はガキかっつーんだよ!







普通は運ばれてたら起きるだろ?





なんで起きねぇーんだ?





この女は?









結局あのままマジ寝モードに入ってしまった妻を





バスローブの上に毛布を巻きつけ





抱えてNYまで戻ってきた





車で移動中も





飛行機の中でも






NYに着いてからも




部屋のベッドに置いた後でも






全く気付かないまま






気持ち良さそうに朝まで眠り続けた妻・・






見事だよ・・








翌朝、すっきりとした表情で目を覚ました妻は




目を覚ましたらNYに居たことを驚いている・・






「何時の間に・・・?」







「何時の間にって・・夕べ帰ってきたんだよ!
 ったく気持ち良さそうに寝やがって!」






「だって・・司がお風呂で襲うから疲れちゃったんだね・・」







俺様のせいにすんな!





まだ少し寝ぼけてるクセにしっかり嫌味言ってんじゃねぇーよ!






「そーだな・・」






妻の嫌味を精一杯の強がりでスルーしてやる!






「なぁ今何時だ?」






「今?え〜っと・・朝の6時!
 そろそろ起きなきゃ!司は今日から出張でしょ?」









「おっ!ちゃんと覚えてたか?!」





「当たり前じゃない!ちゃんと仕度してあるわよ!
 ほら!早く起きてシャワー浴びてきて!
 私は朝ごはんの準備してくるから!」






「あぁ・・」







長い髪を一つに束ねながら寝室を出て行った妻の後ろ姿を見送り



大きく伸びをして俺はバスルームへと向かった



俺は今日から1週間の予定で出張が入っている




帰ってくるのはクリスマスイブ当日






シカゴ・ボストンを回り24日にNYへ戻り





25日から俺は妻に内緒で休みを取っている




28日の妻の誕生日は日本で過ごす予定にしているが




これは絶対に妻には秘密だ!







俺が休みだとバレるとまた逃亡される恐れが大だからな・・






何回も同じ事されてたまるかってんだ!!









シャワーを浴び着替えを済ませてダイニングへと入って行くと








すっかり定番となっている和食の朝食が食卓に並んでいる






妻と向かいあうように座り朝食を食べ終えたタイミングで





秘書が到着した







応対に出ている妻が秘書に俺の着替えやらが詰まったトランクを渡している




これも結婚してから変わった事の一つだ





今まで出張に行くからと言って着替えなど準備させた事はなかった







いつも着替えも女も全て現地調達していたのに







今じゃ大違いだ







だけど妻にいろいろと世話を焼かれるのは気持ちがいい




妻が俺のためにしてくれる行為の一つ一つが嬉しい





けどよ・・





な〜んで秘書にまで






"時間があったら食べてくださいね"



って弁当渡してんだよ!?







軽〜く青筋を立てながら少し照れながら弁当を受け取っている秘書を睨みつけているけど




妻は全く気にしていない・・





"行ってらっしゃい!気をつけてね!"と・・




さっさと行け!とばかりに俺様の背中を押しやがる!







「オイ!俺が出張に行ってる間、ウロウロすんじゃねぇーぞ!」





「分かってるわよ!ちゃんといい子で待ってるから早く帰ってきてね!」






俺の肩に手を置き背伸びした妻が俺の頬に軽くキスをしてきた・・・




ヤベェ・・行きたくなくなってきた・・






「・・おっ・・おお!行ってくるぞ!」





「うん、気をつけてね」






「おっ!そうだ!忘れるところだった。
 今日にもカナダからもみの木が届くからな!」






「本当?!嬉しい〜ありがとう!」





「じゃあ、行ってくる!」







"行ってらっしゃ〜い"と上機嫌の妻に見送られて俺は出張へと出かけた





出掛けに妻に伝えたもみの木とは





夕べ、カナダの別荘で風呂に入っている時に妻が



別荘の庭に植えられていたもみの木を





クリスマスツリー用に1本切りたいと言ったものを俺が手配していた




既にリビングにはツリーが飾られてはいるが




妻はそのツリーがどうも気に入らないらしい・・





あれだけ大騒ぎして探し出してきたツリーなのにTVで見た




ホワイトハウスのクリスマスツリーより小さいと怒っていた・・





そしてクリスマス1週間前にしてやっと妻のお眼鏡に叶うもみの木が




カナダの別荘で見つかったらしく切ってNYへ持って帰りたいと言い出していた





そしてこのもみの木がこの後、俺の想像の範疇を軽〜く越えた妻ワールドへと




俺を誘うこととなるなんてこの時点では全く想像していなかった






















BACK/NEXT
inserted by FC2 system