「もう帰っちゃうんだねぇ〜・・寂しいよ〜・・」



「つくし〜!私も寂しいよ〜!!
 絶対にまた遊びに来るからねぇ〜!」



私はしばらくお二人と会いたくありません!!



「うん、待ってるねぇ!」



「つくしも日本に帰って来てねぇ〜!」



「うん、絶対、日本に遊びに行くよ!」



泣きながら抱きあい別れを惜しんでいる宇宙人二人・・・



東京とNY・・離れている距離は飛行機に乗ればたった半日



まぁ・・この二人にとってはそれぞれの星に帰るようなものなんでしょうけど・・



大袈裟なんですよ!いちいち・・・



「盛り上がってるところ悪いんですけど、滋さん!そろそろ時間ですよ!」



「分かった・・じゃあね、つくし〜元気でね!」



「滋さんも桜子も元気でねぇ〜」



「つくしこそ元気でねぇ〜〜」



「滋さんこそ元気でねぇ〜〜〜」



「絶対にまた来るから〜〜!」



「私も絶対に会いに行くから〜〜!!」



「あの・・いい加減にしてもらえませんか?」



このままだとこっちに移住する事に成りかねないので先輩から滋さんを強引に引き離し
出発ゲートへと向かって歩き始める



「つくし〜〜!」



「しげるさ〜ん〜〜!!」



今どきどんなベタな恋愛映画だって使わないような空港での別れのシーン・・・



「はい、はい!行きますよ!
 また来ましょうね、滋さん!」



滋さんを引き摺るようにゲートをくぐる直前、後ろで先輩の悲鳴が聞こえたような気がした・・・



私・・三条桜子はこの後、約12時間
食事のとき以外、喋り続ける滋さんの相手をする事になる・・



もう本当にしばらく先輩とも滋さんとも会いませんからね!!



電話が掛かってきても出ませんからね!!












滋さんと桜子を見送った後、いきなり後ろから声を掛けられ
私の口から出たのは短い悲鳴・・・



「オイ!」



「キャッ!」



振り向くとそこにはなんだかすっご〜く機嫌の悪そうなカブト虫男が立っていた



「ど、どうしたの?は、早いんじゃないの?」



「お前、類にキスしたんか?」



「はぁ?あんた、大丈夫?」



「どうなんだよ!」



「どうなんだよって言われたって・・花沢類とキスしたこと・・」



「あるんだな!?」



「そんな凄むことないでしょ?
 キスぐらいなんなのよ?」



「俺にもキスしろ!」



「はぁ?」



「類にはしたんだろ?!
 じゃあ俺にもお前からキスしろ!」



「病院行く?」



「なんで病院なんだよ!?」



「だって仕事のしすぎかなんかでおかしくなっちゃたんでしょ?」



「おかしくなんてなってねぇーよ!」



「そうだね。おかしいのは前からだもんね。」



「で、どうして花沢類とキスしたからってあんたにキスしなくちゃいけないわけ?」



「俺と付き合ってんだから当たり前だろーが!」



「それもそうだね。」



「納得したんだったらさっさと俺にキスしろ!」



「プッ!ヤダ!」



「笑いながら拒否すんな!」



「だって顔が変だし、キスしたい気分じゃないんだもん!」



「類にはしたんだろーが!!」



「さっきから花沢類、花沢類って日本で何を聞いてきたのか知らないけど、
 私、自分から花沢類にキスしたことなんてないわよ!」



「嘘つけ!類に熱烈なのしたんだろーが!」



「・・・熱烈なのされた覚えならあるけど?」



「・・なっ!クソー!あいつら俺を騙したのか?」



「そうなんじゃないの?
 あんた、あの三人にからかわれたのよ。」



「じゃあ、お前が総二郎に迫ったってのも嘘か?」



「ん?西門さんに・・・?
 それは嘘じゃないかも・・ハハハ」



「このバカ女!」



「な、なによ急に!」



「お前、笑い事じゃねぇーだろ!?
 もしかしたら総二郎にやられてたかもしんねぇーんだぞ!!」



「あの場合は私のほうから迫ったんだからいいんじゃないの?」



「お前・・それマジで言ってんのか?!」



凄まないでよ・・・



「冗談よ!あっ!でも、そしたら今頃、私は西門さんと付き合ってたかもしれないんだね?」



『ゴツン!』



「痛〜ぁい!何すんのよ!石頭!!」



「うるせぇー!それぐらいで済んでありがたいと思え!
 お前、今日から禁酒だからな!!」



「そんな事、勝手に決めないでよ!」



「口答えすんな!俺が禁酒だって言ったら禁酒なんだよ!」



「横暴!独裁者!変態!カブト虫!」



「なんとでも言ってろ!
 フラフラしてたらまた監禁するぞ!」



「あっ!忘れてた!」



「なにを?」



「部屋の模様替えしようと思って!」



「じゃあ、このまま家具屋でも行くか?」



「いいの。」



「どうして?」



「もうオーダーしちゃったから。」



「今度はちゃんとした家具なんだろうな!?」



「大丈夫だよ!フランスの家具デザイナーさんにオーダーしたから。」



「って事はまだしばらくは部屋は芝生のまんまか?」



「そうだね・・」



「しばらくメープルに泊まるぞ!」



「私はあの部屋でいいわよ。」



「ふざけんな!お前も来い!」



「もう!強引なんだから!」



「行くぞ!」




二人で空港の出口へと向かって歩き始める




「ねぇ、カエルとカブト虫だったらどっちが好き?」









            〜 Fin 〜









                    おまけ






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