ハハハ・・結婚しちゃった・・・
神様の前で・・
大勢の人達が見守る前で誓いますって言っちゃった・・


半年前、香港経由でNYへ来てからもうなんだかハチャメチャな毎日の連続
NYへ行くって決めた時はまさかこんなに早く結婚するなんて思ってなかった



いくら彼の記憶が戻ったからって・・
いくら彼が相変わらずおバカさんだからって・・
一応は世界に名だたる道明寺グループの次期総裁で
いくらあの頃より状況が違ってるからって言っても
彼のお母さんの事やなんやかんやetc...
いろいろと問題は山積みだと思っていたから
だからNYへ来てすぐに対面した彼のお母さんの態度には拍子抜けしちゃったのよね・・


だって何言われるんだろうってかなり身構えてたんだもん!
溝鼠とまではいかなくても絶対に賛成されるなんて思ってなかったもの・・
なのにお屋敷に到着した途端、エントランスまで出迎えに来てくれていた椿お姉さんに
絞め殺されそうになってその後、リビングで対面した彼の両親には穏やかに迎え入れられ
そしてそのまま和やかに・・
だけどかな〜り強引に結婚式の日程まで決められてしまった・・



飛んで火にいる夏の虫って感じでがっちりと逃がさないわよ!ってオーラがビンビンで
リビングに居る5人のうちで私の味方してくれる人なんて一人も居なくて・・
4:1の明らかに不利な状況の中、私の意見を尊重以前の問題で誰も聞いてくれないし



結婚して当たり前で、私がここに居るのは
"そのおつもりなんでしょ?"って彼のお母さんの顔に書いてあった・・
のは気のせいなんかじゃないと思うの・・
そりゃ私だって腹をくくってNYまで来てるんだから今さら逃げも隠れもするつもり無いんだけど


それにしても展開が早い!
展開が早いって言えば・・・
あ〜あ〜あの香港の夜で既に早かったかも・・
なんて今さらちょっと反省・・



あの日、公園でふいに現れた道明寺・・
部屋で寝ていたはずの彼にどうして
私の居場所が分かったのか疑問に思ってたんだけど


答えは簡単・・
彼はずーっと私に内緒でSPさんを付けていたらしく
全く気付かぬうちにピッタリと後をつけられていて
私の行動は彼に筒抜けだったらしい




あの日、本当にそのまま彼のジェットで香港へと行き
圧倒される夜景と美味しい料理とお酒ですっかりいい気分になっちゃって
フワフワしちゃって・・
気が付いた時にはって言うか・・



一瞬だけ正気に戻った時には時すでに遅しって言うか・・
まぁ・・あの真っ最中に正気に戻る私もどうかなぁ〜って思うんだけどね
とにかく一瞬、我に返った時にはあの男が私の中に・・って!



あ〜あ〜!!
ダメダメ、ダメダメ!!


とにかくフルスピードで回るコーヒーカップに乗ってるみたいな展開に
自分の事なんだけどちょっと一杯一杯でだからこそ
せめて日常生活はきっちりと地に足をつけていきたいと思ったから
働きたいって言ったのに・・



ダメだ!の一言で全く取り付く島なし
何を言ったって聞いてくれないし
だからって彼を無視して勝手に行動したら周りに迷惑かけるだけだし・・



そして誰も知り合いの居ないNYで私は昼間、暇を持て余し一人・・
SPさんに囲まれて散歩したってちっとも楽しくない!
で、考えたのが
知り合いが居ないんなら作ればいいのよ!


って・・



せっかくNYに居るんだもん
東京で働いてたんじゃ出来ない体験、経験が沢山あるはずよね?
幸か不幸か現在、お金に困る事は無い・・
働かざるもの喰うべからずがモットーの私としては
もの凄く不本意な状況ではあるんだけど



現状を嘆いてばかりじゃ何も変えられないし、
それにお金持ちとはこれから嫌でも付き合って
いかなきゃいけないんだし・・・
だからって大人しくお上品に彼の後ろに納まってるなんて
出来そうに無いから



働く以外で自分のためになって世間と係わり合いになれる方法として
カルチャースクールを選らんだ
その手始めとして毎日、散歩に出かけていた
セントラルパークで見つけたマラソンクラス
個人で走っている人も多いけどコースと距離と目標タイムを決めて
インストラクターの指導の元、知らない人たちと会話しながら走るのは楽しい


そこで知り合ったのが市内の病院に勤務してる外科医さん
同じクラスにはその他にもさまざまな人種に職業の人達がいて
話しをしているだけでもすっごく新鮮に感じる


外科医の彼は自分がゲイだって事は隠してなくて
すぐにすっごく素敵な彼の彼氏を紹介されていたから
私としては全く異性として見ていなかったのよね・・



司のパートナーとして出席するパーティで出会う、
元彼女の対して神経質になってストレスを貯めまくっていた
私の愚痴を聞いてくれる数少ない友人だったのに・・
あのバカ男は自分の事は棚の上の上の上の方に上げちゃって
勝手な事ばっかり言ってくるから


キレて部屋中に芝生を敷き詰めてやったのよね!
最初は私はストレスが溜まってるのよって
ささやかな意思表示のつもりだったんだけど
部屋に芝生ってこれが結構気持ちよくって
クセになちゃって調子に乗ってどんどんやっちゃったのよね・・


芝生を敷いてトランポリンを置いてカモさんをペットにして
カエルのダイニングテーブルまでいくとかな〜りすっきりしたんだけど
今度は逆に司にストレスが溜まっちゃったみたい・・
ザマー見ろ!!




そんな日常の中でも結婚式の準備は着々と進んでいく・・
式を挙げる教会は5番街にあるセントパトリック大聖堂
1858年に建築されたゴシック様式の大聖堂で
全米最大のカトリック系の教会
一歩中へ足を踏み入れるとそこには深い青を基調としたステンドグラスと
聳えるように立つ柱が天井に向かって美しいアーチを描いていて



宗教に興味の無い人でもその中へ入るとその圧倒される美しさに息を呑む
とっても素敵な教会で私は結婚式を挙げる
その他、ドレスは誰も名前を知ってるような
超有名なデザイナーさんに決まり
宝石なんかも・・・
もう何がなんだか分からないくらいどれもが超一流で超豪華・・・



あっさりと私のキャパシティーは一杯になり
溢れかえっていて私の神経は正常値を保つために思考停止状態
思考停止しちゃえば後は案外ラクで流されて行くだけ


結婚式って女にとっては人生の一大イベントだけど
私はそれほど重要だと思ってはいない
重要なのはむしろ式の後に続く長い長い生活のほうで



私はこれからこの世界的に有名な大企業の御曹司
(中身は我が儘でおバカさんなんだけど・・)
と家族を作っていかなければならない



不安な事
心配な事
数え上げればキリがないけれど
私はこの先の何十年も続く彼との生活を楽しみにしている



日本から駆けつけてくれたみんなに祝福され式も滞りなく・・
まぁ、多少のハプニングはあったけど
式も無事に終わり私は道明寺つくしとして日本へ帰国した









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