う〜ん・・付き合ってる時でさえ考えた事なかった山岡君との結婚・・
ダメだ・・想像出来ない・・・



「なにが想像出来ねぇーんだ?」


ギャ!
急に後ろから声が聞こえて驚いて振り向くとそこには少し不機嫌そうな司の顔・・



「し、仕事終わったの?」
「なに慌ててんだよ?」
「慌ててなんてない!」



そ、そんな人を射抜くような目つきで見ないでよー!


「で?何が想像出来ねぇーんだよ?」


お願い・・そこは軽くスルーして!


「話せよ!」


スルーしてくれないのね・・


「命令しないでよ!」
「俺には言えないことか?」
「別にそういうんじゃないけど・・・」
「じゃあ、話せよ!俺達は夫婦なんだから隠し事なんてねぇーはずだろ?」


そんなところで夫婦を強調しないでよ・・
な、なんか照れるじゃない・・



「隠し事なんてしてないけど・・
 昔の事だし大した事じゃないからいいじゃない。」
「昔の事?」




ど、どうしてそこに引っ掛かるのよ〜
睨まないでよ!
凄まないでよ!
急に目つきが鋭くなった司から思わず目を逸らし視線を中庭の方へと移した



「昔の事なら尚さら話せ!」



何言ってもそこから離れてくれないわけね・・・



「分かったわよ!話すわよ!
 ・・でも条件がある!」
「なんだ?」
「話しを聞いて怒ったり不機嫌になったりしないって約束して。」
「それは話しの内容によるな。
 ウダウダ言ってねぇーでとにかく話せ!」


そう凄まれて仕方なく山岡君の事を話した・・
って言ってもなるべく感情的な部分は排除して
事実だけを話したつもりなんだけど・・
それを司がきちんと理解してくれるはずもなく・・




「お前、俺がちょっと目離した隙に何人の男と付き合ってたんだよ!?」




あ〜あ〜もう!うざい・・
こいつのこいう所がちょっと嫌い・・



「あんたが寝た女の数より少ないわよ!」



たっぷりの皮肉を込めた嫌味だったのに・・軽〜く無視された・・



「お前、二股掛けてるような男と結婚考えてたのかよ?!」


人の話しはちゃんと聞いてください・・・



「そんな事言ってないでしょ!」
「そう言ってんのと同じじゃねぇーかよ!
 現にその男は今日、ここで他の女と式挙げてんだろ?」
「そーだけど・・・」
「じゃあ同じじゃねぇーか!」




「同じじゃないわよ!」
「どう違うんだよ!?
 その男はお前と重役の娘を秤にかけて
 自分の出世のために重役の方を選んだんだろーが!?」
「まぁ・・そこんところは間違ってはないんだけど・・」
「その会社ぶっ潰してやる!」



どうしてどうなるのよ・・・



「ダメ!それだけは絶対にダメ!!」
「んでだよ?!お前を傷つけた奴がいるとこだぞ!
 俺は許さねぇーからな!」
「ハァ〜私のために怒ってくれてるのはすっごく嬉しいんだけど、
 私を傷つけたって言えば山岡君よりあんたの方が数百倍も上なんだけど?」
「お前はなんかあったらすぐに昔の事を持ち出してきて
 ウダウダ言い始めるけど、今は俺様が側にいるんだからOKだろ?」




あんたの頭ん中の回路って絶対、間違った繋がり方してるわよ・・
ハァ〜疲れる・・



「あのね、あんたが言うように私は今、幸せなの!
 これは嘘じゃないわよ!
 正直、自分の人生でこんなにのんびりと時間が
 過ごせるなんて思っても見なかったけど、
 予想外の展開って高等部の頃に経験済みでしょ?」
「何が言いてぇんだよ?」
「だから、私はあんたと結婚できて良かったって言ってんのよ!」



あ〜あ〜私、自分でなに言ってんだろうって思うけど
言っちゃったものはしょうがない!
え〜い!もうこの際だから全部言っちゃえ!!



「もし私が山岡君を本気で愛してて結婚とか考えるような相手だったら、
 その人に二股掛けられてるの分かってて
 平気な顔して付き合い続けてるわけないでしょ?」
「私はやっぱりあんたと結婚する事が決まってたんだって思うの。
 お互い遠回りしたけど今はあんたで良かったって思ってるし
 山岡君とはダメだったから流されてあんたと結婚したわけじゃないの。
 それだけは信じて欲しい。」
「信じてるよ!」
「じゃあこの話しはこれでお終い!」
「勝手に終わるな!」




もう!慣れない告白していい加減恥ずかしいんだから終わってよ!
あんただって恥ずかしいんでしょ?!
顔真っ赤だよ!



「俺もお前の事、信じてるよ!」



じゃあもういいじゃない・・・



「だけどあの男の事、許したわけじゃねぇーぞ!」
「許すとか許さないとかって問題じゃないでしょ?
 それに彼は今日、此処で結婚式を挙げてるのよ?!
 今さらどうだっていいじゃない!」
「あの男はお前に二股掛けてたような最低なヤローなんだぞ!」
「それも分かってるわよ!
 だけど二股だったら西門さん達だってやってる事じゃない!
 彼にばかりこだわらないでよ!」
「総二郎達は天秤に掛けたりなんてしねぇぞ!」


確かにそうだけど・・・
彼らの場合は二股なんて可愛いもんでどっちが酷いかって言ったら
ダントツで優勝しちゃうぐらいだと思うんだけどなぁ〜・・



「分かったから・・でもね、私は今は心から山岡君の事を祝福してるの。
 幸せになって欲しいって思ってるから何もしないで。」
「本当にそう思ってんだな?」
「うん、思ってる。」
「じゃあ、行こうぜ!」
「・・ど、どこへ?」


「祝福しにだよ!」
「へっ?」
「やっぱ、お前の前の会社とは道明寺も取引があるしな、
 挨拶がてら俺も祝福してやるよ!行くぞ!」





なんて・・
ギャーーー!
やめて〜〜〜









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