※このお話しは甘くもなくHappyEndでもありません。(涙)
ご注意くださいませ。≦(_ _)≧

























紫煙の向こうに広がる摩天楼が少しずつ滲む



手の中にある今日届いたばかりの金色の縁取りが施された



白い封筒を開封する事のないまま己の人生と共に握りつぶした




見下ろした摩天楼に雨が降り始めた・・












    

愛しき君へ・・

     6年前、俺はババァに恨みを持つ暴漢に港で刺され 瀕死の重傷を負いその後遺症で牧野の記憶だけを失くしてしまった 記憶は刺された傷が癒えるのと同じくして戻ってきていたが 俺はその事実を誰にも打ち明けていない 6年経った今でも仲間達を初めタマも姉ちゃんもババァも 俺が記憶を失ったままだと信じている ババァがくれた1年間のを英徳大学で過ごし NYへ渡るときには牧野にダチとして別れを告げた どうして記憶が戻っている事を告げなかったのかって・・? 答えは簡単だ・・ 牧野を守るため・・ 腕力なら誰にも負けない自信はある だけど今回の暴漢は直接俺を狙ってくれたから良かったものの 大勢の人間がごった返していたあの場所で 一つ間違えば牧野が刺されていたかもしれない・・ ババァが鉄の女である限り・・ 俺が道明寺司である限り・・ これからも同じ様に命の危険が付き纏うだろう 例え俺が道明寺を出たとしてもそれは変えようの無い現実 そんな現実から牧野を守りたかった 俺は牧野と出会い想いを通わせる事によって自分の幼さを知った 牧野を守るために腕力じゃない本当の強さが必要だと思い知ったんだ・・ その強さを持ち合わせていない以上、 強引に牧野の手を繋ぎとめておく事は出来なかった 心で彼女を想いながらダチとして過ごした1年間 NYへ渡って3年 大学を卒業し本格的に仕事を始めた頃、 日本に戻った時に集合したメンバーの中に居た牧野は 既に俺の牧野ではなかった・・ 自らの考えでその手を離したくせに・・ 親友と幸せそうにしている彼女を見たくなくて 逃げるようにNYへと舞い戻った この6年間で彼女に会ったのはその時の一度だけ いつかこんな時が来るんじゃないかって覚悟していたはずだったのに・・・ 親友と並び歩く彼女の姿を納得していたはずだったのに・・・ 何度も記憶が戻っている事を告げようとした・・ だけど俺を取り巻く環境はあの頃から何一つ変わっていない ババァは相変わらず息子の俺でさえ持ち駒の一つぐらいにしか思っていない 現実の中で俺の周りに存在するのは嫉妬や妬み、恨みばかり 負の感情しか存在しない世界なのに それでも俺が前に進めないのは彼女の記憶があるから 今はまだ心の底から彼女の幸せを願う事は出来そうにないから 俺の代わりに花束を贈ろう・・ 愛しき君へ 花に託した想いが 遠く海を越えて 彼女の元へと届くように・・・ 〜Fin〜 【あとがき】 一年の最後にこんな暗くて救いようのないお話しでごめんなさい・・涙 しばらくおバカなコメディ系ばかり妄想していたリハビリのつもりで 少しシリアスなお話しを勢いと物凄い思いつきだけで書いてしまいました。 司君が司君らしくなかったですね・・反省(汗) 最後までお付き合いいただきありがとうございました。 年内に長編をもう一度更新したいなぁ〜と考えております・・←あくまでも予定ですが^^; 2006/12/27 KiraKira
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