昼間とは逆で今度は僕が気付かなかった



彼女は僕の前に立ち、少し前屈みになって僕の顔を覗きこんでいる



彼女の胸元にかけられているダイヤのネックレスが揺れていて・・

思わず彼女の胸元に目が釘付けになってしまった





「・・る・・い・・・花沢・・類・・!」






「えっ・・!?あっ・・ごめん、何?」






「どうしたの?ボーっとしてるよ。

 私、もう出られるけど、花沢類 大丈夫?眠いの?」



腰に手を当てて僕の顔を覗き込んでいる・・・


そこには8年前と変わらない彼女がいた・・・




でも“眠いの?”は無いよね!





「大丈夫だよ。それに今は昔みたいに寝てばっかりしてないよ。」





「そう。」






僕の言葉に短く答えただけで彼女は僕に背中を向けて

ジャケットに袖を通しはじめた




その後ろ姿にさっき見た光景をストレートにぶつけてみる







「ねぇ さっき総二郎と一緒だったよね?」






袖を通している途中で彼女の動きがピタリと止まり、

ゆっくりと僕の方へ振り返った





振り返った彼女の表情は・・・


少し焦っているようだったがそれもすぐに収まり・・




「別に隠してたわけじゃないんだけどね。」


「総二郎とはよく会ってるの。」






牧野が総二郎って呼んだ・・・



昔は西門さんだったのに付き合っていた司の事だって道明寺って呼んでたのに・・





「どうして?」





「う〜ん、話せば長くなるけど・・・」





「いいよ、話して。」




「分かった・・けど場所変えない?」





「いいよ。」




「じゃぁ、行こっか。」





彼女についてオフィスを出た、迎えのリムジンに乗り込み


彼女が僕を連れて行ったのはイーストサイドの高級アパート





彼女に続いて車を降りアパートの中に入る


エントランスにはドアマンがいて、中に入るとコンシェルジェもいて・・・



セキュリティーも万全の高級アパート



マンハッタンで一、二を争う超高級住宅地に建つ高層アパート




そのアパートの最上階のペントハウス





名前が変わっていて総二郎と一緒で会社を経営していて

リムジンにペントハウス・・?





「ねぇ 牧野、ここどこ?」




「私んち。」




「・・・・・・」





もう言葉が出てこない何もかもが僕の想像の範疇を超えてしまっている・・・





でもこんなのはまだまだ序の口だった・・



僕はこれからもっと驚くことになる・・・






















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