日本 道明寺邸



この日、司が久しぶりに日本に帰国していた




彼の帰国に伴い道明寺邸には類と総二郎を除く仲間たちが集まってきていた





「よお!司、久しぶりだな。」



「ああ、久しぶりだな。
 で、お前だけか?」



「滋と桜子は後で来るって。」



「類と総二郎はどうしたんだ?」



「ああ、電話したけど何か日本にはいないらしい。」



あきらには少し気になる事があった



今回の司の帰国は急なものだったのだが、久しぶりの司の帰国に合わせてみんなに集合を
かける為に類と総二郎にも電話をかけた




二人共携帯にいくらかけても繋がらず、自宅にかけた電話でお手伝いさんに二人共
海外に出ている事を聞いた




二人共行き先はメキシコのカンクン




メキシコ・・・?


カンクン・・・?


類と総二郎が・・?


偶然なのか・・?


偶然、二人共行き先が同じだけなのか・・?


まさか・・だよな・・・?


だとしたら変わった組み合わせだよな?


何があるんだ?


女か?


類が女と旅行?



まさかな・・?


総二郎にしても変だ・・


あいつが女と旅行なんて・・



ちょっと考えにくい・・・




頭の中に湧き上がってくる疑問の数々・・


司の声で我に返った



「二人共仕事なのか?」



「いいや、違うみたいだけど・・詳しい事は分かんねぇ。」



「そうか。」


司は二人の行き先などさして疑問に思っていないらしく深くは追求してこなかったのだが・・



このすぐ後に登場するハイテンションお嬢様は違った・・



司と二人、酒を酌み交わしながら談笑している所に滋と桜子が到着した


久しぶりに会うが滋は相変わらずテンションが高い



「ヤッホ〜 司〜 おかえり〜!」



「道明寺さん、お帰りなさい。」




「おう!お前ら遅かったな。」



「うん、桜子と買い物行ってたからね。
 ねぇ ニッシーと類君は?」



「今日は来れないってよ。」



「えー、どうして?仕事忙しいの?
 せっかくみんなに会えると思って楽しみにしてたのに〜。」



「そうだな、司が日本に帰ってきたのも久しぶりだから、
 みんな揃えばよかったけど、決まったのも急だったしな。」



「ねぇ 司はいつまでこっちに居られるの?」



「こっちでの仕事が終わったら休みが取れたから2週間ぐらいはこっちに居るつもりだ。」



「そっか。じゃぁ またニッシーも類君も呼んでみんなで会えるね。」




その声に思わず反応してしまった




「いや、二人共海外にいるから、年内いっぱいはこっちに帰ってこないと思う。」



正直に答えてしまってすぐにヤバイと思ったのだがすでに後の祭り・・



「えーー 二人共日本にいないの〜? つまんない!」
「ねぇ ねぇ 二人共どこに行ってるの?
 あきら君は知ってるんでしょ?二人共仕事なの?」



滋のその言葉に司も桜子も“どうなんだ?”と言う顔で俺を見ている



「えっ・・ああ・・詳しい事は分かんねぇけど、二人共メキシコのカンクンに行ってるらしい。」




「二人共って・・・二人一緒に行ってるの?
 ニッシーと類君が・・?変わった組み合わせだね?」



「ああ・・けど二人が一緒に行ったのかどうかは分かんねぇ。」




俺のその言葉に滋が何かを思いついた様子だった



今までの経験上、どうせロクな事じゃない・・



嫌な予感がする、やっぱり話すんじゃなかった・・・





「ねぇ ねぇ あきら君!
 二人が一緒かどうか調べてみてよ!」




「なんでだよ!仕事かもしれないんだぞ。」



思わず俺の声がでかくなる・・



「まさか・・類君なら仕事かもしれないけどメキシコのカンクンでニッシーが仕事のわけないでしょ!
だから絶対に仕事じゃない!だとしたらズルイ〜二人だけでバカンスに行くなんて〜。」




はっきりと仕事じゃないと言い切った滋・・



何が、ズルイ〜 なんだ?


まさか・・だよな・・?



そのまさか・・だと思うけど・・一応聞いてみる・・




「滋、そんな事調べてどうするんだ?」
「まさか・・俺たちもカンクンに行くなんて言うんじゃねぇよな?」



「どうして?行っちゃいけないの?
 あきら君は気にならないの?」



ウッ・・痛いところをつかれた・・・かも・・



「気にならないことも・・ないけど・・」




語尾を濁した俺を見て滋がニヤッとしたのが分かった・・




「だったらいいでしょ。それに本当に二人が一緒かどうかもまだ分かんないんだし。」
「司も桜子も休みなんでしょ?
 ちょうどいいじゃない、みんなでバカンスに行こうよ〜!」




お、俺の予定は聞いてくれないのか?



「桜子も行きたいでしょ?」




黙って俺と滋の話を聞いていた桜子はため息を付きながらも




「ハァ〜 行きたいですよ。って言わなきゃ滋さん納得してくれないでしょ。
 それにほっといたら滋さん一人でも行っちゃいそうですから、
 そんな事になったら迷惑するのは西門さんと花沢さんですものね。」




「ハァ〜 分かったよ。調べてみるけど、まだ行くって決めたわけじゃないからな。いいな、滋!」




「やった〜、分かったよ。ねぇ 司も行くでしょ?」





「お前らが行くんだったら俺はいいぞ、好きにしろ。」





ハァ〜 本当に・・話すんじゃなかった・・・




どうして急にメキシコに行くって事になるんだよ!?




俺は今、激しく後悔してるぞ〜!!




けど・・とにかくあいつらがどこに泊まってるかだけでも調べてみるか









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