東京の街も再開発が進み




ゾクゾクと新名所が誕生している





そんな中で美作が手がけた新しい商業ビルの中に






類がプロデュースしたカフェがOPENする事になっている







その準備の為に俺も連日、類と打ち合わせを重ねていたが





何しろ恐ろしい程のマイペース男に振り回されっぱなしで






類の思いつきで何度設計が変更になった事か・・





予定は伸びに伸び・・




工事も押しに押し・・





工事が完了したのはOPEN1週間前・・












何度も類の気紛れと思いつきで変更された店内は





その中心に噴水が置かれていて






噴水の周囲にぐるりとソファーが配されていて






モダンで落ち着いた空間が作り出されている






何度も変更になりその度に





各所への調整役で走り回り





類のマイペースさに怒鳴ってやろうかと思った事も多々あったけれど





完成した店内を見渡してみると




やっぱり類のセンスというか・・





落ち着く空間という物に人一倍こだわりのある類だからこそ



作り出せたカフェだと思う








OPEN前からマスコミの評判も良く





連日、TVや雑誌で店の事が宣伝されている





F4の一員である俺と類が手がけたカフェって事も





話題の一つらしくマスコミを招待してのプレオープンには







俺と類、目当てのマスコミがわんさか押しかけ宣伝してくれている






モダンで落ち着いた大人の空間に俺は満足している





類もちょっと目を離した隙に






OPENテラスに置かれているソファーで転寝をするぐらい気に入っている












OPENも翌日に控え







最終確認に忙しい店内に





類が大きなダンボール箱を持ってフラリと現れた






類とダンボール・・





恐ろしい程ミスマッチだが





本人は何故かご機嫌で店内に入ってくると噴水の前で立ちどまり





ダンボールの蓋を開けると中の物を噴水へとぶちまけた・・






「オ、オイ!類!・・なんだそれ・・?」






ぶちまけられたのは黄色いボディーのアヒルのおもちゃ・・






「アヒル。今朝、司が送って来たんだ。」





アヒルなのは見れば分かるんだよ!





ん?






司が送って来た?











「司が何でそんなもん送って来たんだ?」





「ん?知らない。どうしてだろうね?」






気にしてねぇーんだな・・





俺はすんげぇ気になるぞ!







「だ、だからってよ・・なんでここにぶちまけんだよ?!」







「これで行くから。」






何処へ行くんだよ!?







「いいや!ちょっと待て!

 そんなもん泳がせたらこの空間が台無しになるだろ!?」








「そうかな?いいと思うけど?」







思わねぇ!!












「ダメだ!さっさと片付けろ!」






おっ!怒ったか?






「ここは俺がプロデューサーなんだからこれで行くからね!

 それとこのアヒル、牧野って名前だから誰にも触らせないでね。」






完全にへそを曲げてしまった類は言いたい事だけ言うと





唖然とする俺や従業員を残して店を出て行ってしまった・・







アヒルの名前が牧野って何だよ!?






モダンな店内を泳ぐ大量の黄色いアヒル・・






モダンで落ち着く空間を一瞬で




シュールな物に変えてしまう破壊力は確かに牧野かもしんねぇーけど







俺は認めねぇーからな!!















     〜Fin〜











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