や、やばい・・まともに顔が見れない・・・




しばらく気まずい空気のまま黙って飲んでいたけれど持て余していた

沈黙を破ってくれたのはマットだった





「よお!何やってんだ?二人か?」





「あんたこそ何してんのよ?運命の女探しはどうしたの?」







「やってるよ!それより総二郎借りるぞ!」

「総二郎、手伝え!」






「いいけど、どれだ?」






「あそこ、端から2番目のテーブルの2人組」






「どっちだ?」




「ブロンド。」





「OK!」









たったこれだけの会話で通じ合うあんた達って・・・



感心しながらも果敢に運命の女かもしれない女性にトライしているマットと

それに付き合っている総二郎をぼんやりと眺めていた・・





それにしても、何なのよ!



さっきのキスは・・・




飲みかけのワインに口をつけるけどさっきとキスと

真っ赤になった総二郎の耳が目の前にちらついて落ち着かない!



あ〜 もう!



考えたって分かんないんだから気にするのやめよう!



うん!そうしよう!・・

なんて一人考えていると今まで総二郎が座っていたスツールに

誰かが座った気配がした・・




他にも空いている所があるんだからわざわざ隣に座る事ないでしょ!


なんて思っていると隣に座った男が声をかけてきた・・





う゛〜 ウザイ・・・!




そう思い軽く左手をあげて側に待機しているはずのSPを呼ぶ



近づいてきたSPの一人がすかさず私の男の間に身体を入れると

すぐに男が席から離れて行くのが分かった



男が離れたのを確認するとSPも離れていく



普段はSPなんて付いて回られるだけでめんどくさいと

思っているけどこんな時は助かる





マットと総二郎はどうやらナンパに成功したらしい四人で

店を出て行く姿が見える




「あ〜あ・・お腹すいたなぁ〜」




言うともなしについつい口から出ちゃう独り言・・



だけどお腹すいたって言っても総二郎は行っちゃったし、

類は寝ちゃってるし・・・私、一人じゃん・・



けど、いい歳して食事する相手が総二郎と類しかいないって・・・

これってどうよ?



だからって声をかけてくる男の人となんて嫌だし・・

知らない人と食事するぐらいなら一人で食べた方がましだし・・



なんて・・
一人でぼんやりと考えていると・・・また・・
私の隣に誰かが座った・・・



もう!


そう思って無視を決め込んでいると


聞こえてきたのは聞きなれた声・・




「総二郎は?」



横に座ったのは類だった



「ど、どうしたの?」



「う・・・ん、なんか、お腹すいちゃったから。
 で、総二郎は?」





「マットと消えてった。」




「そう。で、さっき、お腹すいた〜って言ってたけど何食べたい?」




「う〜ん、イタリアン。」




「OK。じゃぁ 行こう。」




二人でホテル内にあるイタリアンレストランで食事をとり

部屋に戻ると総二郎はまだ帰ってなかった




シャワーを浴び、ベッドへと潜り込むと長い一日が終わる・・・



今日という一日を思い返してみる・・・




予想以上に日焼けした事を除けばなかなかいい一日だった



夢など見ずにゆっくりと眠れそう・・・




いつからだろう・・

夢は嫌い・・


よく夢の中で会えたらいいねなんて人は言うけど・・

私はヤダ・・・


二度と会えないのなら例え夢の中でも会いたくない・・



夢の中の私はどんどん欲張りになってしまう・・




その内、夢の中だけでは我慢が出来なくなってしまうから・・



彼が私に優しいのは夢の中だけだから・・




だから夢は嫌い・・





だけど夢の中で自分の本当の気持ちに気付かされるのはもっと嫌い・・









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