驚きで声も出せないまま桜子の背中を追っていると






桜子が総二郎と類を押しのけ牧野に抱きついている






桜子の"先輩"という声がレストランに響いている・・







滋ももうとっくに駆け出している・・





今、辿り着いた・・






・・って・・オイ!どういう事なんだ?






どうしてあの三人が一緒なんだ・・?





どうすんだよ〜 司、連れてきちまったじゃねーかよ!






教えとけよなぁ〜 総二郎!







「おい、あきら!あの女だれだ?」






司だった・・・







「牧野だよ。牧野 つくし。」








「・・・牧野・・?誰だソレ?」
「お前の知り合いか?」







「ああ、そうだよ。
 でもなあいつは知り合いなんて軽いもんじゃなくて、
 俺達の大切な仲間だ。」









「・・俺達の仲間?あの女がか?」






「ああ、そうだ。」







「あんな女が仲間って、
 お前、頭おかしいんじゃねぇーのか?」






「お前が気にいろうがどうしようが関係ない。
 でもな一つ言っておくぞ。別に仲良くしろとは言わない、
 けどこれ以上、あいつを傷つけるな。
 話したくなければそれで構わないから黙ってろ!」







そこまで一気に話し終えるとまだ何か言っている



司を置いて俺も牧野の側に歩み寄った






真近で見る数年ぶりの牧野・・






一目見ただけでこいつはちゃんと前を向いて




歩いてきたんだという事が分かる




外見はあの頃とは比べ物にならないくらい綺麗に



なっていたし、あの力強い輝きも変わらない





滋はまだ牧野に抱きついて泣いている





とりあえず総二郎に声をかける






総二郎も俺達の突然の出現に驚いている



そりゃ、そうだ俺だって驚いている・・








「よお!」






「お、おう!お前らどうしてここに居るんだ?」







「滋だよ。お前と類の行き先がカンクンだって聞いて、
 行くって言い張ったんだよ。ちょうど休みだった俺達が道連れにされた。」









「で、お前と類がどうして牧野と一緒なんだ?」







「ああ、話せば長くなるからとりあえず紹介しとく。」







そう言って総二郎が俺に紹介したのは、




エド.W.ペリー と




マット.J.ペリー







そして大人になった牧野の弟の進とその婚約者のモニカ





カンクンには進の結婚式の為に来たのだと教えられた







「そうだったのか。
 進、結婚おめでとう!」







「美作さん、ありがとうございます。」








俺が進と最後に会ったのは彼がまだ中学生の時だ






だが今、目の前にいるのは立派に成長した大人になった進だった







いつまでも牧野に抱きついている滋を桜子がやっと引き剥がすことに成功した・・







「牧野!」





「美作さん」







泪瞳の彼女が俺の名前を呼んだのを合図に俺も彼女を抱き寄せた





抱き締めた彼女は予想以上に細く力を込めれば壊してしまいそうだ・・






久しぶりの牧野を堪能していたのに後ろから響いてきた類の声によって

強引に牧野から引き離されてしまった・・・








「あきら、もういいでしょ。つくし、離して。」






腕を掴まれて我に返る・・







そうだった・・こいつ≪類≫もいたんだ・・・






「よ、よっ!類!」





慌てて声を掛けたが・・




少ししらじらしかったか・・?






つくしを抱き締めているあきらを見ているとマットが俺の耳元で囁く・・








「おい、総二郎、またライバル出現か?」







「・・・いや・・あいつは違うはずだけど・・」








「本当にそうか?
 お前の思い違いじゃねぇーのか?」






「・・自信はねぇけど・・多分・・違う・・」






「まぁ、どっちにしてもお前もややこしい奴にホレたな?」






「・・ああ、そうだな・・」






・・ったくどういうつもりなんだよ、こいつら!




よりによって司まで連れてきやがって!!






目の前では滋と桜子がつくしを引っ張って席についている





類がまだ座ったままの司の元へ行き何やら話しかけているけど・・





まぁ〜 何を話しているかはだいたいの想像はつく・・








「久しぶりだね、司。」






「ああ、お前らこんなところで何やってんだ?」





「牧野の弟の結婚式に招待されてるからね。」






「牧野・・?さっきもあきらが訳の分かんねぇ事言ってたけど・・
 牧野って俺が刺された時、お前と付き合ってたあのビンボー女の事か?」






「牧野は僕と付き合ってたわけじゃないよ。」
「ねぇ 司、牧野と同じテーブルに着くのは構わないけど
 あの頃みたいな暴言吐いたら許さないからね。」








「何でいちいちお前の許可がいんだよ?
 俺が何処に座ろうが俺の自由だろーが!」







「とにかく牧野を傷つけるような事言ったら
 例え司でも許さないから、覚えといてね。」







「俺はあんな女と口聞くつもりはねぇよ!
 あいつらが一緒にいるから仕方なくここに居るだけだ!」







「そう、じゃぁ行こうか。」







類が司を連れてこちらのテーブルにくるのが見えた








つくしは少し引きつっているように見えたが、




思っていたより穏やかな表情だった・・・・

















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