「Hello〜?」





電話の相手は再びエドだった





エドの話の内容はマットの見合い相手であるマーガレットが

行方不明になっていてNYのヘインズ家では彼女が誘拐されたんじゃ

ないかって大騒ぎになっているとの事






サイアク・・!!




やっぱり・・!!





彼女の事、詳しく知ってるわけじゃないけど、

ヘインズ家の一人娘だって事ぐらいは噂で聞いて知っている






恐らく今まで一人で外出などした事ないだろう・・・





そんな彼女が誰にも行き先を告げずに飛行機に乗り国境を越えてしまった






彼女の気持ちが痛い程分かる・・






私にも経験のある・・・




遠い過去の微かな胸の痛み・・




ただ会いたいという一心だけで何処までだって行けたのに・・





でもそれも昔の話・・





今の私にはもう出来ない・・・






だから彼女の事が少し羨ましい気もする






エドには彼女がカンクンに居て今から会う事になっていると伝え




どうして彼女がここまで来てしまったのかも掻い摘んで説明しておいた





目の前のマットは不機嫌極まりないという顔でこちらを睨んでいるだけ・・





『分かった。
 とにかく彼女のご両親にはカンクンに居るって事だけ連絡しておくよ。』






「お願いね。」





『ところで、彼女は無事なのか?』





「分からない。10時に会う事になってるけど彼女まだ来てないの。
 マットは夕方会ったみたいだけど・・」





『そうか。ケイトは今何処にいるの?』






「ダウンタウンのハードロックカフェにいる。」





『分かった。
 僕も今から行くから、とにかく彼女が来たら引き止めておいて。』





「OK。」







つくしは電話を切るとため息を付きながら不貞腐れているマットに向かって




「エドも来るって。」





「何でだよ?あいつには関係ねぇーだろ!」






事の成り行きが気になっていた俺は






「オイ!つくし、どうなってんだよ?何があったんだ?」





「う〜ん彼女・・マットのお見合い相手のマーガレットが
 誰にも言わずに黙って此処まで来ちゃったみたいで。
 NYで大騒ぎになってるって・・ごめんね、みんな。
 変な事に巻き込んじゃって。」







つくしが俺達に謝っている



その言葉に滋が何か口を開こうとした時、先に声を出したのは司だった・・





「本当に迷惑だぜ!
 それにお前、何で当たり前のように此処に座ってんだ?!
 うぜぇーんだよ!!」







司の言葉に俺達の間に一気に緊張感が漂う・・・





そんな中、司の暴言に一番最初に反応したのはマットだった




元々機嫌が悪いところへ今の司の言葉で完全にキレてしまったようだ





イスから勢いよく立ち上がりもの凄い形相で司を睨みつけながら





「お前こそ何なんだ?エラそうーに、ケイトに何か恨みでもあんのかよ!?

 お前の方こそうぜぇーんだよ!」




「マット!止めて、お願いだから!」




つくしが少し震える声でマットを制している・・・





「ごめんなさい。イヤな思いさせて。
 もう彼女来ると思うから・・私達席移るから後はみんなで楽しんで。」





彼女は無理矢理の笑顔を顔に貼り付けたままで俺達にそう言うと

まだ司を睨んだままのマットの腕を引っ張り俺達のテーブルから反対側の店の奥に座った




つくし達の動きを目で追いかけていた総二郎だったが、

二人が座ったのを確認すると視線を戻した・・・







後はみんなで楽しんでと言っていたが・・・



とてもそんな雰囲気じゃないしそんな気分にもなれない・・・








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