あ〜もう月曜日だ・・


目覚まし時計のアラームが鳴ってる


腕だけを伸ばしベッドサイドにあるアラームを止める




あ〜ダメダメ・・



再び眠りに引き込まれそうになる意識をなんとか押し止め




2日連続の2日酔いの身体を無理やりベッドから引き剥がしバスルームへ向かった


マットと滋さんの電撃婚約発表があったのが土曜日で

そのままレストランから私の部屋へと


なだれ込んで日曜の朝方まで飲んでて


お昼過ぎに起き出して来た時に居たのは


桜子と総二郎と類だけだった


美作さんは仕事に出かけたようでマットと滋さん


そして道明寺はそれぞれ帰宅したのだと思っていた





お昼過ぎに置きだしてきた私は2日酔いの頭痛を


止めるためにアスピリンを飲んだだけで




何をするわけでもなくリビングのソファーでのんびりとしていた





桜子は"飲みすぎ、寝不足でお肌がボロボロです!"


なんて言いながらエステに行っちゃったし




類なんてソファーでクッション抱きしめたまま


夢の世界を行ったり来たりだし




総二郎はずーっと新聞を読んだまま・・





こんな時の総二郎って機嫌が悪い時だから下手に話しかけない方がいいのよね・・





まった〜りとした日曜日の午後を過ごし



そのまま日曜日が終わると思ってたんだけど・・




実際は違ったの・・






窓から差し込む日差しが少しずつ傾き始めNYの街に


ゆっくりと夜が降りて来る頃



続々とみんな帰ってきちゃって・・




まぁ、美作さんと桜子はここに泊まってるんだから



帰ってくるのは当たり前なんだけど





マットと滋さんに道明寺までが美作さんと共に帰って来ちゃったのには驚いた・・





NY在住なんだから自分ちに帰ってよ!






でもってまた始まってしまった宴会・・





私の部屋のワインセラーが綺麗に空っぽになっちゃったじゃない!






それでも夕べはみんな次の日の事を考え自重していたみたいで




日付が変わった頃にはお開きになったんだけど




5時間ほど寝たぐらいじゃ抜けきれない程のワインが私の体内を駆け巡っていて





2日連続でアスピリンのお世話に






シャワーを浴びメイクをしてスーツに着替えて


リビングからキッチンへと入って行く




時計は午前7時、そろそろみんな起きだしてくる頃だろと思うんだけど



まだ誰も居ないキッチンでコーヒーメーカーをセットする




しばらくするとコポコポという音と共に


香ばしいコーヒーの香がキッチンに漂い始めた




コーヒーカップを片手に脇に置いていたバッグから


今日の会議用の資料を取り出し




目を通しながらも頭の中では全く違う事を考えていた・・




マットと滋さんという組み合わせは予想外だったけど


滋さんがマットに惹かれた理由はすぐに分かった・・




それと同時に私が何故、今までずっと彼と一緒に居たのかも・・・



マットと道明寺は似てるから・・





道明寺ほど単純でも我が儘でもないけれど


どことなく醸し出す雰囲気が似ている






何時からだろう・・?




私が私にウソをつき始めたのは・・・?





一つついたウソを取り繕う為にまた新たなウソをつく・・




その繰り返しがいつの間にか真実を心の奥深くに隠してしまい


見えなくなってきている





NYへ来た当初の振り向かないと誓った心にウソはない




私はもうあの頃を振り返りその想いに囚われたまま生きていくつもりはない




ただ忘れられたわけじゃない・・




忘れられない・・




結局、私は過去から自分からも逃げていただけなのかもしれない・・




忙しくしていればそれだけ考えなくて済む




そうやって走り続けて少しでも前に進む事で過去から逃げて続けている





そんな事をしていても何も解決しないのに



ただ答えを出すのを先延ばしにしていただけ





進めば進むほど自分の中で矛盾が生まれてくる



その矛盾を誤魔化すためにウソをつく




そしてまた一つ、また一つウソを重ねていく・・


自分に都合のいいウソは時に心地よく感じてしまう


だけどウソで塗り固められた真実は心の奥底で息を潜めているだけで



決して死に絶える事はない・・




いつかウソというメッキを剥がしそれと向き合わなければならない時が来てしまう



今の私がその時期なのかもしれない・・



そろそろ逃げるための無理やりの一歩じゃなくて



本当の意味の一歩を踏み出す時が来ているのかもしれない




その事に気付いてしまえばもうウソをつき続ける事は出来ない・・



だから心を決めてしまおう




いつの間にか自由に飛びたてなくなっていた私




先の事をあれやこれやと考えたって仕方がないのだから





自ら固めてしまった足元を一度ぶち壊してみようか?




少し心が軽くなった気がする




私も意外と単純なのかも・・・?





そんな思いに行き当たりクスリと笑みが零れた瞬間、声が聞こえてきて



現実の世界へ引き戻された





「朝っぱらからコーヒー片手になに笑ってんだよ?!気持ちわりぃーな!」




ゲッ!!






総二郎の声がして驚いて顔を上げると


桜子以外のメンバーが全員揃ってキッチンに入ってきた




それぞれが仕事に出かける準備をしている





道明寺までいるじゃない!




夕べも泊まったんだね・・




ちょっと意外・・






「いいでしょ!私の朝のひと時を邪魔しないでよ!」





慌てて抗議したけどしっかりとみんなに見られていたみたいで・・




総二郎のにやけた顔がムカつく!




キッ!と総二郎を睨んでいると滋さんが話しかけてきた





「つくし〜おはよう!私も今日から出社するけどいいかな?」





「もちろん!頑張ってね。」





「ありがとう!」




それぞれがコーヒーカップを手にカウンターを取り囲みながら



その場で立ったままコーヒーを飲み始めている




なんだか取り囲まれてる気分なんだけど・・・






「美作さんは何時までいるの?」




「木曜日まで。」





「じゃあここの鍵を渡しておくわね。
 それからマットの鍵は滋さんに渡して!」




「俺のをか?」




「当たり前でしょ!あんたのはもう必要ないんだから!」




「分かったよ!」





マットの鍵を滋さんに渡し予備で置いてあった鍵を美作さんに手渡した





「いいのか?俺が持ってても?」




「うん、無いと不便でしょ?」





「Thank You!」





「You're Welcome。」












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