前を行く牧野達は纏わり付いてくるマスコミを交わしながら出口へと向かっている






俺も纏わり付いてくるマスコミを何とか振り払い




車に乗り込む寸前であいつの腕を掴み俺のリムジンに押し込んだ




車が走り出してもしばらくはお互いに黙ったまま





・・って




・・何で全員この車に乗ってんだよ!!





俺の横にはあきら・・





目の前には真ん中に牧野を挟んで類と総二郎・・






「オイ!どういう事なのか説明しろよ!!」






「何、怒ってるの?」





「司はさっき何で俺がお前を出迎えにわざわざ
 成田までこなきゃいけねぇーんだってえらい剣幕で怒ってたんだぜ」





「そうだったの・・ごめんなさいね。
 私も総二郎達からあなたは寝る間も無い程忙しそうだって聞いてたから
 あなたの出迎えはいらないって楓社長にも断ったんだけど・・・」





「俺らも今日、迎えに行くのに誘おうと思ってたんだけど、
 お前すっげぇー忙しいって言ってたから仕事の邪魔しちゃ悪いと思って
 遠慮したんだよ!」








「オメェーらいつから知ってたんだよ!?」





「う〜ん、2ヶ月ちょっと前からかな?
 つくしから電話もらってその時にね。」





のんびりとした類の声にますますイライラが募る!






「俺も。」




「俺もだ。」




続いて総二郎とあきらまで・・




何も知らされてなかったのは俺だけかよ・・







「何で俺にだけ電話してこねぇーんだよ!?」





「だって、あなたの番号知らないもの。」





「そんなもん誰かに聞きゃーいいだろうーが!
 それにおめぇらもなんで俺に何にも言ってこねぇんだよ!
 まず俺に連絡してくんのが普通だろーが!!」





「司は日本に帰って来てからずーっと僕達の事を避けてたでしょ?」



…いや…まぁ…




避けてたかって聞かれればそうかもしれない…




忙しくしていれば牧野の事を考えなくてすむから…




それにこいつらと会うとどうしてもその向こうに牧野の姿が見え隠れするから…




でも俺のちっぽけなプライドがそれを認める事を拒否している…




「避けてなんかねぇーよ!」





「避けてたじゃねぇかよ!
 何回電話しても忙しいからってろくに用件も聞かねぇで切られるし!
 久しぶりに4人で飲もうぜって誘った時だって
 忙しいからって断ったくせにメープルのラウンジで
 背中に哀愁漂わせて一人で飲んだじゃねぇかよ!」





「なっ!…な、なんでお前らそれ知ってんだよ!?」




「俺らもあそこで飲んでたんだよ!」




「だったら声掛ければいいじゃねぇかよ!なんで無視すんだよ!?」




「司、忙しそうだったからね。」




俺様が何か問い掛ける度にこいつらの口から吐き出されるのは嫌味と皮肉…





「オメェーら!俺様を馬鹿にしてんのか?!」





「馬鹿になんてしてねぇーよ!俺達は真実を話してるだけだ!
 お前もこれに懲りたんだったら下手なウソつかねぇで
 呼び出しには素直に応えろよ!」




密室である車内で4対1昔っから口ではこいつらには勝てない…




だからってここで暴れる程ガキでもねぇーし…




あー!でもムカツクんだよ!




「分かったのか?」




「分かったよ!チクショー!」




「一言余計だよ。」




「うるせぇぞ類!お前はさっきからなんなんだよ!
 俺様を馬鹿にして楽しいか?
 それにまだ俺の質問に答えてねぇーだろーが!?
 牧野がなんでここに居るんだよ?」




「さっき言ったじゃない?メープルの取締役になったって。」





何を今ごろ…?といったような牧野の呆れた瞳が俺を捕らえた…



だけどそれも一瞬ですぐに逸らされてしまった…



萎えそうになる心を奮い立たせて俺は言葉を繋げる









   ←BACK/NEXT→







inserted by FC2 system