これまでババァの影響で高級志向で何処か敷居の高かったメープルを





牧野は高級志向は残しつつどこか柔らかい雰囲気に変えてしまった





特別リニューアルしたわけではない・・





まずあいつがやった事は従業員の意識改革





自分が率先して従業員の中に入って行く事で





末端の社員にまで自分のカラーを浸透させて行った





最近では毎週のようにどこかの雑誌や新聞に出ていて



テレビなどでも見かけるようになった・・





昔っからは考えられないが





メディアに出る事を楽しんでいるような感もある




今やあいつはデキる女の代名詞らしく





ファッション雑誌などではあいつの着た洋服が特集されてたりもする





そして何より俺様がムカつくのは週代わりで



いろんな男との熱愛が報道されている




その中に俺様が入っていない・・





総二郎や類にあきらまで入ってんだぞ!





なんで俺様だけ入ってねぇーんだよ!!






とにかくムカつくことばっかりだけど



今やあいつは完全にメープルの顔になっている





それもこれも全て作戦らしいのだが・・





俺は今、最高に不機嫌だ!






どうしてかって・・?





牧野の熱愛報道もそうだけど俺様が今、いる場所に関係している





俺は今日、都内にある撮影スタジオに連れてこられている





事の発端はなんて事ない・・




単なる雑談からだった










ホテルにとってクリスマスやバレンタインデーなどのイベント事は



普段、ホテルを使用する機会の少ない客層を呼び込むチャンスだから



どのホテルもいろいろと企画を考え宣伝している




牧野が就任して半年





まだ夏の始まりだと言うのにホテル側では既に



クリスマスイベントの企画が大詰めに入っている




連日、企画会議が開かれているようだったが・・





まだ広告に使うモデルが決まっていなかったらしい・・



その原因は牧野らしいのだが・・





企画室の人間は日本中はもとより世界中のタレント事務所、


モデル事務所に声を掛けオーディションを繰り返していたが



牧野のOKが出ない








いつものように仕事が終わって続々と牧野の部屋に集結してくるメンバーと夕食後、




ソファーに座ってワインを飲んでいた時、



発売されたばかりの雑誌を読んでいた牧野が





"ねぇ?F4って今でも人気あんのね?!"




そう言った牧野に横に座っていた総二郎が牧野のおでこをピンと弾きながら





"今でもってのは余計なんだよ!"





"痛〜い!なにすんのよ!"






俺様の目の前でじゃれ合い始めた牧野と総二郎にムカついて



牧野の手から雑誌を取り上げた






「何読んでんだよ?!」





手にしていた雑誌は女性用のファッション雑誌で




"日本の次世代の若きリーダー達"という特集が組まれていて



そのトップに俺達F4が載っていた





「これがどうかしたのか?」





あきらが俺の手元にある雑誌を覗き込みながら



牧野に話しかけている





「だからF4ってまだ人気があるんだなって思ったのよ。」




「それがどうしたんだよ?」






「私ねここ1ヶ月ほど世界中のいい男って呼ばれる人達を見てきたんだけど、
 今一ピンと来なかったのよね・・」






「それってメープルのクリスマスイベントのモデルの事か?」






「うん、何千人とカッコいい人達を見てきたんだけど・・
 確かに顔はいいのよね・・スタイルだっていいし・・だけど
 どこか現実感を伴ってないって言うか・・なんだか薄っぺらい作り物って感じがするの・・」






「それで?」





なんとな〜く嫌な予感がするぞ!?





「その点ではあんた達って違うのよね・・若い女性が憧れる要素を持ってるし、
 それに顔やスタイルがいいだけのテレビの中の手の届かない存在じゃなくて
 リアリティーがあるって言うか・・現実に手にしてる財力とか地位だとか・・
 それに加えてビジュアルもOKだし・・」






オイ!


俺達と話してんだから独り言みたいにブツブツ言うの止めろよなー!!




この女、また自己完結しかかってるんぞ!!








「だからあんた達がやってくれない?
 クリスマスイベントのモデル。」












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