「その前に私からの条件を提示するわね。
 ここに書いてあるから目を通してくれる?」








牧野がバッグから取り出したファイルを俺に差し出す






A4サイズのファイルの中に記されていた条件というのは単純明快で





公私混同しない事と契約期間は2年間というぐらい・・





まぁ・・大まかに言うとだけどな









「お前の条件ってこれだけか?」






「ええ、それさえきっちと守ってくれたら再開発事業の受注と
 あんたの仕事の効率を今よりも20%アップさせてあげるわ。」








「すげぇ自信だなお前!?
 ちょっとメープルで成功したぐらいでなに調子に乗ってんのかしんねぇーけど
 大口叩いて失敗した時はどう責任取るつもりだ?」








「失敗するつもりなんて無いけど
 そうね・・もしそうなった場合はあんたの言う事をなんでも聞いてあげる
 って言うのでどうかしら?」








マジか?






こいつ自分で言ってる言葉の意味分かって話ししてんのか?







再開発にしたって最終段階に来ている今の状況で


受注に失敗したところでこいつに責任は無いし、


俺様の仕事の効率にしたって仕事量から考えればこれが限界のはずだ!







これ以上ハードスケジュールにされたら俺様がぶっ倒れちまう!





そんな事になったら元も子もねぇから



こいつのこの条件は俺様にとってすっげぇ有利なんじゃねぇーのか?







「その言葉に嘘はねぇーんだな?」






「ええ、嘘は無いわ・・だけど・・もし私の言った事が本当になったら
 逆にあんたが私の言う事をなんでも聞いてくれない?」







「ああ、いいぞ!なんだって聞いてやるよ!」





「これで交渉成立ね。」






「ああ、成立だ!お前を俺様の秘書に雇ってやるよ!」





「それでは明日から出社いたしますのでよろしくお願い致します。」






一瞬でビジネスモードに切り替え俺に向かって一礼すると



あっさりとオフィスを出て行こうとする牧野を慌てて呼び止める







「あっ!オ、オイ!ちょっと待てよ!」






呼び止める声にドアの所で立ちどまり振り返った彼女は






「なんでしょうか?」







「お、お前・・今夜、時間あるか?
 あるんならメシでも行かねぇーか?」







「お申し出は大変嬉しいのですが・・」







「オイ!その言葉遣いやめろ!」







契約が成立した途端に言葉遣いを変えられて萎えるじゃねぇーかよ!






「ですが・・」






「いいんだよ!俺様と二人の時は普通に話せ!」





「かしこまりました。では・・・
 今夜は約束があるから無理よ。
 それに公私混同しないって約束したばっかりでしょ?
 プライベートな時間削ってまで上司と食事する趣味は持ってないの。
 じゃあね。」








いっそ・・ひと思いに殺してくんねぇーか・・?



















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