昼食を終え次の会議へ向けて書類に目を通していると




ノックもせずにいきなりドアが開いて




秘書が飛び込んできた









何事かと驚いて顔を上げた俺と



一体何処から走ってきたんだ?って思うくらい髪は乱れ



額に汗を浮かべ乱れる息に大きく上下する肩・・・





いつもはビシッとスーツを着こなし





いつの間にか身に着けた優雅な動作で







どんな状況でも慌てず焦らず仕事おこなしている彼女の




こんなにも慌てた姿を見るのは本当に久しぶりだった








だからノックを忘れるなんて失礼な動作でいきなりオフィスへ飛び込んできた彼女を




注意する事も忘れて俺の口から出た言葉は・・・







「お、おい!どうしたんだ?!」








オフィスのドアノブに手を掛けたまま仁王立ちで




肩で息をしたままだった彼女が俺の声に弾かれたように




デスクの前まで大股で歩み寄ると





デスクの上に置かれていた俺の飲みかけのアイスコーヒーを一気に飲んでしまった・・







「あっ!・・おい・・」







見る見る間になくなっていくアイスコーヒー・・




全部飲み干すとやっと一息ついたいのか





彼女は来客用のソファーにどっかりと座り込んでしまった・・





やれやれ・・





一体なにがあったんだ?







手にしたままだった書類をデスクに置き







内線で彼女に飲み干されてしまった




代わりのアイスコーヒーと彼女用のジャスミンティーを頼み



ソファーへと移動した







「オイ!大丈夫か?」






「・・大丈夫じゃない!」






「何があったんだよ?」






「・・・道明寺に会った・・」






司に会った・・?







「マ、マジか?」






「うん・・」






「何処で会ったんだ?
 なんか話ししたのか?」







「ここに戻る途中で・・道・・歩いてたらいきなり後ろから腕を掴まれて・・」






「それで走って逃げて来たのか?」






そこでノックがして別の秘書が飲み物を持ってきたので会話が中断した






現在、俺の第一秘書をしている牧野は



いつもなら絶対に俺のオフィスで呑気にお茶なんて




飲んだりしないのだが・・








今は仕事中だとかここが俺のオフィスだとか



完全に忘れてしまっているようだ・・






牧野がどうして俺の秘書なんかやっているのか・・・





そのいきさつは又の機会に話すとして





俺としてはこいつの口から司の名前が出てきた事の方が重大だった


















         ←BACK/NEXT→












inserted by FC2 system