殴ってやりたい気持ちをグッと堪えつつ聞いた司の説明と







酔っ払った滋が捲くし立てていた内容を相互すると






やっぱり原因は司が昔、手を出した女の事で






牧野がヤキモチを妬いてただでさえ機嫌が悪いのに




司の不用意な言動が家出を決定付けたようだ・・






まぁ今さらだけど記憶を失っていた間に司が手をつけた女は




世界中に星の数ほど存在している・・




一番多いのはやっぱり本拠地としていたNYだろうけど






その次に多いのが東京だ






NYと東京を往復する生活をしていた司は東京でもNYでも同じ様に






間違った向上心を発揮し近寄ってくる女に





片っ端から手を付け噂になっていた






司にとっては一晩限りの遊び相手だとしても女にとっては違う






数少ないチャンスカードをそう簡単に手放すわけは無く





司が牧野と結婚した今でも諦めていない






女たちにしてみれば道明寺司という男は






自らの自尊心を大いに刺激する最高の男なのだろう






大金持ちで仕事も出来るし背も高くルックスも完璧







確かに外見だけで判断すればパーフェクトな男なのだろうけど・・







目の前の尊大な態度の男の本質と言うか






中身は完璧とは程遠い場所に位置している






それでも女達が諦めきれないのは司が選んだ相手が牧野だったからだろう







自分達より明らかに容姿の劣る女が完璧な男の隣に立っているという事が





今でも自分達にチャンスが残っていると




勘違いさせてしまっている原因なのだろうな・・






牧野は普通の女だ・・




但し一見するとだけどな・・






容姿にしたってそこら辺にいる女と大差は無い





司は例外だとしても10代の頃から知っている俺達にすれば





あの頃よりは幼さは抜け大人の女になってはいるが






それでもやっぱり牧野はあのボンビー牧野のままだ






中身はあれ程、面白いヤツもそうそういねぇーけど・・






とにかく牧野にとってはストレスの溜まる状態がNYでも続いていて





牧野のパーティー嫌いに拍車が掛かってしまっていたのに





司は自分にとって世界で唯一で最高の女を自慢したくて無理やりにでも






パーティーに連れて行こうとする・・






司のその気持ちも分かる








牧野にしたって司と結婚した以上は



嫌いだ苦手だとばかり言ってられないのは理解していて




ちゃんと司のパートナーとして出席しているのだろうけど






NYでならまだしも東京でも昔、





司と一度寝たぐらいの女に値踏みされるように見られ






その度に勝ち誇った顔されたんじゃ切れるだろう・・







「あいつは気にしすぎなんだよ!」







お前はもうちょっと気にした方がいいと思うぞ!







「そうだろうけど・・でもやっぱり自分のダンナと昔関係のあった女が
 目の前にいたら気分悪くもなるだろう?」








「まぁな・・完璧な俺様だから他の女共も近付いてくるのは
 しょーがねぇけど俺様はあいつにしか興味ねぇーし!」






おっ!なんとな〜く見えてきたぞ!






今の言葉を言った後の司のなんとな〜く嬉しそうな顔で分かっちまったじゃねぇーか・・







「お前・・それ牧野にも言ったのか?」






「あん?何をだ?」






「だから!今、お前が言った事だよ!」






「あぁ、言ったぞ!そしたらあいつが怒ったんだよ!
 ったく!わけ分かんねぇーよ!」





分かってねぇーのはお前だけだろ・・







「お前・・ヤキモチ妬いてる女にそれ言ったら切れて家出されんに決まってんだろ!?」






「ハァ?!あいつの家出の原因が俺様だって言いてぇーのか?!」






言いたいんじゃなくて言ってんだよ!







司の事だから牧野がヤキモチを妬いてくれて嬉しかったんだろうけど・・






意地っ張りな牧野にしてみれば




ヤキモチを妬いてるのだって認めたく無いだろうに






肝心の司に嬉しそうに気にすんなとか言われて納得するわけねぇーだろ!






「じゃあお前が逆の立場だったらどうする?」






「はぁ?」







「だから!パーティじゃなくても街中とかで牧野が昔、
 付き合ってた男に偶然会ったとしてその男がお前の存在なんて無視して
 馴れ馴れしく牧野に接してきたらどうする?って聞いてんだよ!」








「誰だ!その男!」








「だからもしもの話しだろーが!マジになんなよ!」







「もしもでもぜってぇ許すかよ!
 その男、その場でぶっ殺す!」








「そうだろ・・でもって牧野は昔の事だから
 今はあなただけよなんて言われてお前の怒りはおさまんのかよ?!」








「おさまるわけねぇーだろーが!
 とりあえずその男ぶっ殺して他の男も全部探し出してぶっ殺してやる!
 あいつの男は地球上に俺様だけで十分なんだよ!」








「牧野だって同じ思いなんじゃねぇーのか?
 過去の事をとやかく言っても仕方ねぇーし
 そんな事でヤキモチ妬いたって意味ねぇーのは分かってるけど
 それでも目の前に突きつけられれば心穏やかじゃいられないだろ?
 それなのにあいつにとっては唯一頼れる存在のお前に
 余裕ぶっこいた態度取られたら家出だってしたくもなるだろう?!」








一気に捲くし立てた俺の言葉を聞いて急にシュンとする猛獣・・





怒鳴ってるこいつもウザイけどシュンとしてるこいつもめんどくせぇ〜!







「じゃあ・・どうしたらいいんだよ!?」







「知るかよ!お前の女房なんだからてめぇーで考えろよ!」






「ガキの頃からのダチの俺様が困ってんだぞ!
 なんとかしてやろうって気になんねぇーのかよ!?」







困ってるようには見えねぇーし





そんな気になんねぇーよ!







「とにかく原因がお前だって事がはっきりしたんだから、
 今夜迎えに行って素直に謝ればいいだけだろ?!」







「今さら謝ったぐらいであいつが素直に帰ってくるかよ!
 なんか別の方法考えろ!」






「なんで俺がそこまでしねぇーといけねぇーんだよ!
 いい加減にしてくれよ!」






「俺達ダチだったよな?」







なんの確認なんだよ!?






結局はそこに戻んのかよ・・










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