「オイ!類!ここにいる女ぜ〜んぶに司は手を付けてたって事か?」






「う〜ん・・全部かどうかは分からないけど・・
 いい線行ってるんじゃない?」







のんびりとそう答えた類・・







そして偶然、目が合った滋が俺達に向かってVサイン・・






帰りてぇ〜〜〜〜〜






いや!逃げるぞ!!






類なら一人でも大丈夫だろう・・





どんな状況でも笑える強い奴だけど




俺達はそんな頑丈には出来ていない







"総二郎!逃げるぞ!!"






総二郎にアイコンタクトを送る・・





ん?






なに目逸らしてんだよ!?







長い付き合いの総二郎は普段なら目が合っただけで





瞬時に俺の気持ちを理解してくれるのに・・







今日に限っては目を逸らされてしまい逃亡失敗!







一瞬、戸惑い躊躇してしまった俺の腕を滋が掴む








「あっき〜始まるよ〜♪」







いよいよパーティーが始まるらしい・・







目の前の扉がゆっくりと開かれ会場に足を踏み入れると






中は暗く足元にフットライトが点けられているだけ








"暗くなっておりますのでお足元にはご注意の上、

止まらずに中ほどまでお進み下さい。"





その言葉に従って会場の中に足を進める



中へ足を進めるごとに徐々に目も暗さに慣れて来て





なんとなくぼんやりとだけど全体の雰囲気が掴めるようになってきた。






会場全体は暗さのためか、かなりざわついている




俺の隣りには滋がそして少し後ろに桜子がいるのが話し声で分かる



会場に入って5分も経っていないと思うが




ざわついていた会場に男性の声が響いた





"大変お待たせ致しました。

ただ今より道明寺司の誕生日パーティーを始めさせていただきたいと思います。"




その声と同時に会場に明かりが点けられた




ウオッ!!!






明かりが点いたと同時に全貌を露わにした会場に






俺は声を上げると同時に後ろへ飛び退いてしまった…







な、なんなんだよ…ここは…?!

















あきら達が先に会場へと行ってしまって部屋に残されたのは俺様と妻だけ


俺の隣りに立ち腕を絡めてきた妻の胸が俺の肘に当たっている…


未だ先程の行為の余韻が残る俺にとっては


もうパーティーなんてどうでもよくて



出来ればパーティーなんてスルーして



このままドレス姿の妻を押し倒したい衝動に駆られる





「なぁ…パーティーなんかやめてこのままベッド行こうぜ」





無駄だとは分かってはいるがそれでも口をついて出た言葉に妻は笑いながら







「パーティーならすぐに終わるから大丈夫よ」







「すぐって言ったって2、3時間は掛かるだろ?
 やっぱかったるいからバックレようぜ!」






「なにバカな事言ってるのよ!もう皆さん集まってくださってるのよ!
 それに心配しなくともすぐに終わるよ!ほら!
 あんまり皆さんお待たせしちゃいけないから行くわよ!」






一気に捲し立てると俺の腕を引っ張って行く妻





長い廊下をご機嫌で歩く妻…




隣で気乗りしない俺…




さっきから事あるごとにパーティーならすぐに終わるからと言う


妻の言葉に引っ掛かってはいるが疑問は解消されないまま


会場となっているホール前まで来てしまった…







静かにドアが開けられると中は暗く





人がいる気配はするが全体像が掴めない





一歩踏み出す足を躊躇していると横から妻の声がして







「そこ段差になってるから気をつけてね」






確かにぼんやりと暗闇の中に階段らしき物が見える






どうやら雛段に上がる為の階段らしい




5段ほどの階段を上がり雛段の真ん中に立たされる俺







横には妻がいるけどすんげぇ心細いぞ!








ガヤガヤと話し声は聞こえるが姿形がはっきりとしない暗い会場で




嫌〜な汗が背中を伝う








どうなっているのか妻に問い質そうとした瞬間、



マイクを通して俺の秘書の声が会場に響いた








"大変お待たせ致しました。
 ただ今より道明寺司の誕生日パーティーを
 始めさせていただきたいと思います。"






秘書の声と同時にパッと明かりが点いて




目に飛び込んできた光景に秒殺されフリーズ・・






フリーズする直前に遠くであきらの叫び声が聞こえたような気がした・・










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