明かりが点いた瞬間、思わず声が出て飛び退いてしまったが






周りにも同じ様なリアクションを取っている人が多い・・・







異様は雰囲気を醸し出しているのは






招待客が女ばっかりというだけじゃなくて









会場中の壁に沿って立てられている司の等身大パネル










そのパネルの写真が見事に









ぜ〜んぶ去年のハロウィンの時にテレビで見たバニーガール姿







ある意味、圧巻の大男のバニーガールに囲まれて







身動きが取れない俺の手に強引にグラスが握らされた








思考が停止したままの俺の手に強引に




乾杯用のグラスを握らせた滋が





俺の目の前でヒラヒラと手を振ってやがる







「お〜い〜!あっき〜大丈夫〜?
 乾杯始まるよ〜!」









「・・あ・・ああ・・なぁ・・しげ・・ウォーーーー!!!」










再び上がった俺の叫び声が会場中に響き







俺の声で我に返った奴も多いようで








皆一様に手元のグラスを見て驚いている









そりゃ・・驚くわな・・








だってよ・・









ご丁寧にグラスにまでバニーガール姿の司の写真がプリントされてんだぜ・・








もう勘弁してくれよ・・












雛壇でフリーズしたまま目だけを動かし




会場中を見渡すけれど知っている姿形ばかりで・・・





手の平にはじっとりと汗が浮かんでいる







今さらどうなってんだ?なんて野暮な疑問はぶつけねぇーから




これからどうなるのか誰か説明してくれ!







知りすぎる程、知ってしまっている女達の視線を一身に浴びながら





今さらながら妻の恐ろしさを実感する・・






俺・・ここから生きて出られんのか・・??






「司?はい、これ持って!」






そう言いながら妻は俺様の汗ばむ手にグラスを握らせた・・・





手の平の汗でグラスが滑り落ちないようしっかりと持ちながら




背中にも汗が伝い自らの心臓が激しく鼓動する音が頭の中に響いていて




咽がカラカラに渇いていた俺はまだ乾杯前だと言うことも忘れて




グラスに口をつけようとしてグラスに印刷された




バニーガール姿の自分と目が合った・・














「本日はお忙しい中、道明寺司の誕生日パーティーに
 お集まりいただき本当にありがとうございます。
 まずは乾杯をしたいと思っておりますが、
 皆様のお手元にグラスは行き届きましたでしょうか?」








進行役の俺様の秘書の声がスピーカーから流れる中









雛壇の目の前に立っていた女が突然、





手にしていたグラスを雛壇の上に立つ俺のほうへ向けて投げてきた








"冗談じゃないわよ!なんなのよこれ!?私、帰る!!"









そう言った女は女優で妻の事を思い出す直前まで何度か付き合いがあった





女優という職業がら自分を魅力的に見せる術を知っていて






何よりイメージというものに気を使っていたので






俺に対してもヒステリックに深追いしてくる事もなく






便利な女の一人だった・・







その女を皮切りに続々と帰って行く知りすぎてしまっている女達・・・








妻は俺の横に立ったまま微動だにしない






薄く微笑みを浮かべたまま、表情も動かない・・・







あっという間に会場に残されたのはいつものメンバーだけに・・








最後の女が会場から出て行く後ろ姿を見送った





妻の表情がニヤリと動き






俺の背中にゾクリと悪寒が走る







笑顔を貼り付けたままの妻が横に立つ俺に向き直ると








「ほらね!パーティーはすぐに終わるからって言った通りになったでしょ?」








「・・ああ・・そうだな・・」









妻の勝ち誇ったような表情を見ていたら






今さらながらに沸々と湧き上がってくる怒りに任せて妻を怒鳴りつけた








「一体、お前は何がしたかったんだよ!?」







「あんたこそ何なのよ?」












あっと言う間に終わってしまったパーティー・・





良かったのか悪かったのか・・?







まぁ・・良かったんだろうな・・








多分・・・?








けどよ・・あ〜あ〜司の野郎・・かなり怒ってるな







当然といえば当然の司の怒りなんだけど





いまだ雛壇の上に立ったままのバカ夫婦は





俺達がいる事も忘れて喧嘩を始めてしまっている








怒鳴り声を上げる司に冷静な声で返した牧野






だけど疑問に疑問で返した牧野に




明らかに気勢を逸らされている司には笑えるぞ!








「お、俺様がなんだって言うんだよ!? 
 そそそそれより今夜のパーティーの事を俺様が納得するように説明しろよ! 
 理由によっちゃたとえお前でも許さねぇーからな!」








とりあえず凄んではいるが腰が引けてんぞ!司!
















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