あれがジョージだよ!と






妻が指差した方向へと視線を向けると





池の向こう岸の少し背の高い草の向こうから顔を出したのは







白いボディーに黄色い嘴のアヒルだった










「ジョージってアレの事か?」









「そうだよ!あの子がジョージって言ってこの池の主なの!」








主って・・






茂みから出てきたアヒルは尻を振りながら





ゆっくりと池の縁までたどり着くと





水に入り優雅に水面を泳いでいる








ジョージってのがアヒルだってのは分かったけど






妻の溜息とは結びつかない










「なぁ?あのアヒルが何で恋わずらいなんだよ?」








「あの子ね3ヶ月程前にここに来たんだけど、
 来た時はちょっと弱っててメイドさんが世話してあげたら元気になって
 住み着いちゃったのみたいなの。」









住み着くのは構わねぇーけど・・







目の前の池では優雅に泳ぐアヒルの後ろに鴨が一羽







まるで家来のように付き従って泳いでいる









「あ〜あ〜また道明寺・・後ろに付いてる・・」








「俺がどうしたんだ?」








「あんたじゃなくて鴨の道明寺よ!
 鴨の道明寺はね今、ジョージに恋してるんだけど
 ジョージがね・・冷たいのよね・・」









恋わずらいって・・鴨の俺のかよ・・・?







妻はアヒルが冷たいと言っているが








俺には二羽で仲良く泳いでいる風にしか見えない










「あれの何処が冷たいんだ?
 仲良く泳いでんじゃねぇーかよ?
 アヒルも嫌がってるように見えねぇーし?」









「今はね・・水の中だから・・でももう少ししたら分かるわよ。」








休日に妻と二人で眺める屋敷の池






天気は良いし妻の機嫌も良いから






いいんだけどよ・・・









な〜んかまった〜りとし過ぎてて手持ち無沙汰なんだよなぁ〜・・・


















手持ち無沙汰だから・・ついつい・・







手持ち無沙汰な手が・・ついつい・・







隣に座る妻の太腿あたりを・・ついつい・・







行ったり来たり・・・







「イテッ!」








ベシッ!と払い退けられる俺の手








「なぁ?いつまでここで池眺めてるつもりなんだよ?
 そろそろいいだろ?屋敷に戻ろうぜ!」









「戻りたければ司だけ戻っててよ。
 私はもう少しここで道明寺を応援してるから!」








応援って・・





見てるだけだろ・・?












「一人で屋敷に戻って何すんだよ?
 ちょっとは俺の相手もしろよな!」








「してるじゃない!もう!うるさいなぁ〜!
 じゃあ膝枕してあげるからそれでいいでしょ?」









なんて言い放つと俺の頭を強引に掴み





自分の膝へと持ってくる・・・







すんげぇ〜強引な膝枕完成・・







妻の手が俺の頭を撫でていて






くそっ!






ガキ扱いしやがって!








五月蝿いから寝かしつけようとしてんじゃねぇーよ!







気持ちいいじゃねぇーかよ!!










妻の膝の上から水平になった池を眺める






しばらく優雅に泳いでいたアヒルは





今度は俺達が居る方の岸へと上がってくると






木の側で眠っている鴨の隣に寄り添うように座った・・・









「あ〜あ〜ジョージったら・・また花沢類の隣で・・
 こら!道明寺!頑張りなさい!ボサーッと見てるだけじゃダメでしょ!?」








あの鴨は類鴨なのか・・?






まぁ・・木陰で昼寝ってまんま類だけど・・







アヒルから少し遅れて池から上がってきた俺鴨は






妻の声援という名の激に背中を押されたのか







果敢に木陰で寄り添うように眠る







類鴨とアヒルの間に割り込もうとしているが








グワッ!とアヒルに威嚇され後退気味・・








「なぁ?あいつら何やってんだ?」







「ジョージはね花沢類が好きなのよ・・ハァ〜・・」








はぁ?
















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