すっかり二人だけの世界に入り込んでしまっている猛獣夫婦 猛獣は涙ぐんでいる猛獣妻を抱き寄せると 優しく髪を撫でている 猛獣妻の方も珍しく されるがままに大人しく猛獣の腕の中に納まってやがる 酔っぱらってんな・・ じゃなきゃ有り得ない光景だ・・ 「ごめんな疑うような事言って・・信じてるからな。」 「うん、ありがとう。 私も司の事信じてるよ。」 「おう。」 「ねぇ、司?温泉に入りたいね・・」 どういう流れなんだよ? なんでいきなり温泉が出てくんだよ? 猛獣の胸元から酒と涙で潤んだ瞳で猛獣を見上げている猛獣妻 その瞳を向けられた途端、猛獣の表情が今まで見た事ないぐらいに崩れ 長い付き合いの俺達でも聞いた事ないぐらいの優しい声で 「温泉に入りたいのか?」 「うん、久しぶりの日本だから・・温泉に入りたいの。」 「どこの温泉がいいんだ?」 「う〜ん・・昔、行った滋さんちの別荘の温泉がいい!」 「滋んとこって・・あの別荘か?」 「うん、ダメ?」 「ダ、ダメじゃねぇーけど・・あそこは・・」 「ねぇねぇ、滋さんに電話して今から行ってもいいか聞いてみるね?!」 言葉を濁している猛獣にはお構いなしに勝手に話しを進めて行く牧野 言葉通りさっそく滋に連絡している牧野は すぐに連絡がついたみたい電話を切った瞬間、俺達に向かって 「みんなで滋さんちの別荘に集合〜だって♪」 ハァ〜?? 集合〜って何だよ?! なんで俺の方を見てんだよ?! まさか・・俺も仲間に入ってんのか? 「ねぇ、司?今からだと時間も遅くなっちゃうからヘリ用意して! 滋さんもヘリで行くって言ってたから!」 別荘だけ借りてお前ら二人だけで行けばいいだろ!? 俺は温泉なんて入りたくねぇーし滋にも会いたくねぇぞ!! なのに・・・ 牧野に絶対服従の忠実なる僕である猛獣が有無を言わせず俺を温泉へと誘う・・ 類はいいんだ・・ 類は牧野が行く所だったら例えそれが宇宙の果てでも喜んでついて行くだろうから・・ 結局、屋上のヘリポートからヘリに乗せられ滋の別荘へと連行された俺と喜んでついて来た類 俺達が到着して5分しないうちに上空にパラパラとプロペラの音がして 到着したヘリから降りてきたのは滋と桜子と恐ろしく不機嫌な総二郎だった・・ なんかよく分かんねぇーけど 滋の別荘で全員集合してしまった・ さっそくハイテンションな滋が仕切り始めている 「ねぇねぇ、つくし?つくしは司と同じ部屋でいいよね?」 牧野がダメだっつってもきっと猛獣は何処まででもついて行くと思うから その確認は要らねぇーぞ!! 「う〜ん・・どうしようかなぁ?とりあえずは司と同じでもいいけど・・」 悩むな! そこ全然悩むとこじゃねぇ! とりあえずもクソもあるかよ! お前は司と同じ部屋だ! 猛獣を野放しにするな!! ちゃんと責任持って見張ってろ! 「この前みたいに類君と同じ部屋がいい?」 「ふざけんな!つくしは俺様と同じ部屋以外認めねぇーからな!」 どこまでが冗談でどこから本気なのか判断つかねぇーから いい加減やめてくれよ・・ 怒鳴った司は牧野を担ぎ上げるとそのまま部屋へと消えて行ってしまった 残った滋は 「前に来た時はつくしが類君と同じ部屋で私が司と一緒だったから・・ 今回は滋ちゃんが類君と同じ部屋だね!」 滋がアホな事を言っているが 誰も相手にしていない・・・ ←BACK/NEXT→
|