「ねぇ?このまま岸まで歩いた方が早くない?」










足が着いてるんだから









俺に歩けって言ってんだな・・?









まぁ・・その方が早いし確実だな










妻を抱えたままゆっくりと岸へと向かって歩き出した










俺の目の前を横切って行く一羽の鴨












「なぁ?参考のために聞くんだけよ・・
 あの鴨は何やってんだ?」












俺の目の前を横切った鴨は









まるで何かから逃れるように全速力で泳いでやがる















「あ〜・・あれは美作さんなんだけど・・美作さんね・・
 鯉のエイドリアンちゃんにちょっかい出したのが
 ドリアンちゃんのダンナさんのロッキーさんに・・
 あっ!ロッキーも鯉なんだけどね、この池で一番強い鯉なの!
 そのロッキーさんにバレちゃってこないだから追い掛け回されてるのよ。
 自業自得だよね!」












あっちでもこっちでも







NYでも東京でも









F4は呆れるくらいF4で









あらためて思う事は









どんな困難も








どんな馬鹿げた事も









全てを笑い飛ばしてしまえる妻が俺の妻でよかった・・

















池から上がりずぶ濡れのまま服が纏わり付いて








気持ち悪くて歩けないと









俺の首にコアラのようにしがみ付いたまま








自力で歩こうとしない妻を屋敷まで運び









そのままバスルームに直行し









纏わり付く洋服を互いに脱がせあい









冷えた身体をバスタブに沈めた・・








その先はまさに俺の理想!








正しい休日の過ごし方だった!













屋敷の池に落ちてから1週間・・








クソッ!








あのバカ女!








俺様を嵌めやがって!









・・いや







・・嵌めてたのは主に俺の方だけど・・って!








いや!違うんだよ!







そんな事言ってんじゃねぇーんだよ!









池に落ちたあの日から何時に無く積極的で優しい妻







絶対に何か企んでやがる!と警戒しつつも







心地よさの方が勝り波に飲み込まれ翻弄されてしまった俺













夕べ上になった妻が俺に










"ねぇ・・司?私の事・・愛してる・・?"






"ああ・・愛してる・・"








飛びそうになる意識の中で吐息と共に吐き出された言葉








"ねぇ・・気持ちいい・・?"







"ああ・・最高だ・・"








"ねぇ・・日本に帰って来てもいい?"









"ああ・・すっげぇ・・いいぞ・・"










妻の言っている言葉が瞬間的に判断出来なくて







鸚鵡返しでしてしまった返事・・・









気付いた時には時既に遅し・・








後で怒ったところで妻には通用するはずもなく








鴨とヤギと犬を連れて日本へと飛び立ってしまった妻・・









クソッ!俺様を一人にするんじゃねぇ!!
















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