昨日の今日・・





正確には夕べの今夜で・・






悪魔君が猛獣妻のためにカフェを貸切にしてしまった・・





なんとな〜く予想は付いてたけど





俺を巻き込むなよな!!






カフェを貸切にしてしまった類・・






間違っても牧野と類を二人っきりにするわけにはいかねぇーから






類の冷たい視線にも負けず野暮な男を演じている・・








今さらこの二人がどうこうなるなんて思ってねぇーけど






自分の女房は世界一の女で






男なら誰もが心を奪われてしまうと







思い込んでいる猛獣がいる







その猛獣が今の類と牧野を見たらどう思うか・・






なんて答えは簡単だ!







類と俺は確実に殺されるな・・






それにしても久々の感覚だ・・







類と牧野のツーショットなんて






司の記憶が戻るまでは嫌ってくらい目にしていて






二人が作り出す独特の空気に戸惑う事なんてなかったのに・・







司が心配するのも分かる






類の前で安心しきっているのだろうけど






とにかく無防備な牧野と







普段は親友の俺達にだって滅多に見せない笑顔を






牧野には惜しみなく向けている類











だけどこの二人って基本は天然なんだよな・・






こいつらの会話聞いてたら頭痛ぇ〜







「ねぇねぇ花沢類?この子達に名前は付いてるの?」







どうしてアヒルに名前が付いてると思うんだよ?!








「うん、付いてるよ。
 牧野って名前なんだ。」









だからどうしてアヒルが牧野なんだよ?!






いい加減、納得できる答えを教えてくれねぇーか?類君?!









「素敵ぃ〜♪私と同じ名前なの?このアヒルちゃん達!」







本気でそう思ってんのか?





アヒルだぞ!






おもちゃのアヒルに自分の名前を付けられてるんだぞ!





普通は怒んねぇーか?!








「牧野も気に入ってくれると思ってたよ。
 ありがとう。」








そう言ってニッコリと微笑んだ類







オイ!牧野!






類に微笑まれて真っ赤になってんじゃねぇーよ!!






お前は人妻なんだぞ!!






自覚あんのか?








頼むから猛獣の存在を忘れないでくれ!







独特の二人の空気に疎外感を感じつつも







野暮な男を演じ続ける俺の夜が更けてゆく・・・












二人に付き合いつつもかな〜り暇な俺






噴水では相変わらずアヒルと共に回遊を続ける鴨達






犬は牧野の足元で夢の中







ワインを開け順調に酔っ払いへの道を突き進む牧野と






その牧野に寄り添う類・・






そして何故か・・・






さっきからずーっと







俺を見ているヤギ・・・







すんげぇ視線を感じるぞ!!






ビシバシ感じるぞ!!







怖くてそっち見れねぇーけど・・







怖いもの見たさで見てみたい気持ちも無きにしも非ず・・・






あ〜あ〜すんげぇ気になる・・








そーっと視線だけを横にズラして視界の端にヤギを捕らえる








見てるぞ!






こっち見てるぞ!








すんげぇ見てるぞ!ヤギ!!











見なかったことにしよう!








気付いてない事にしておこう!







おい!なんかちょっとづつ近付いてきてねぇーか?







なんなんだよ!?






なんの用だよ?!







俺はお前に用なんてねぇーんだよ!






こっち来んなよな〜!








「オイ!牧野!ヤギをどっかやってくれよ!」







「ん?メリーさんがどうかしたの?」









「ど、どうもしねぇーけどよ・・なんかさっきからずーっと俺を見てるんだよ!」









「見るぐらいいいじゃない!
 きっと美作さんが素敵だから見惚れてるんだと思うよ!
 よっ!ニクイね!色男!」







誰だよ・・お前・・?










「よくねぇーよ!うっとしーんだよ!」









「何をそんなに怒ってんの?
 今、怒るとこあった?」








今だけじゃねぇーんだよ!





俺は夕べからずーっと怒ってんだよ!!









「あきら?そんなにイライラばっかりしてると禿げるよ。」







「えっ!美作さんって禿げてるの?!」








まだ禿げてねぇーよ!





喰い付いてくんじゃねぇ!!








「禿げてねぇーよ!類!余計な事言うな!!」








「美作さん、大丈夫だよ!まだ全然禿げてるように見えないし、
 今はいいカツラもあるみたいだし!それに私は気にしないから!
 この先、美作さんがツルっぱげちゃっても友達で居るから安心して!」









慰めてんのか?俺を?






大丈夫だよって・・俺は元々大丈夫なんだよ!







禿げてねぇーしカツラも必要ねぇーんだよ!





ツルっぱげちゃってもって・・






ツルっぱげちゃってもって・・






それ以上言ったら泣くぞ俺・・








笑うな!類!!















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